《MUMEI》

家についてからも、僕はあの歌が頭から離れなかった。調べることも出来たけど、でもその曲を聴いたらだめだって予感がした。
だから、できるだけ考えないようにその日は早めにベッドに入った。

「………」

んだけど、

「寝れない!」

ガバッとベッドから起き上がる。
「もういい、調べちゃおう!」
机の上にあった携帯を手にとって、頭に残っているあのフレーズで調べてみた。
曲名は分からなかったから、一番上に出てきた曲を聴いてみた。
V系には珍しそうなアコギの音、透き通るような高い声。CDショップで聴いたときとは違う、何かが僕の頭も心も全部奪っていった。
気付いたら僕は涙を流していた。なんでかは自分でもわからない。ただ…
「…うっ…ふ…ひっく…」
涙は止まってくれなかった。

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