《MUMEI》

皆で仲良く登校し、
校舎についた。


けど、皆違うクラス。


特別仲の良い子は
まだいない
私にとって、
教室に行くのには
まだちょっと
勇気がいる。



蓮華くんの横を
歩いていたのに
段々後ろに下がり、
歩くスピードが
遅くなる。



それを察した
かのように
蓮華くんが私の横に
移動して言葉をくれた。



「言ったろ。お前なら大丈夫だって」


頭をポンッと軽く叩き
何気ない一言を
耳元で言われた。


蓮華くんの吐息が
耳に当たって
くすぐったいからか
あるいは
別の理由か、
頬がほんのりと
赤くなっていくのを
感じた。


「う、うん!友達沢山つくる!蓮華くんも頑張って友達つくりなよ!」


なんだか身体の熱が
上がった気がして、
何故そう感じたのか
理由がわからず、
それを誤魔化す
ように話題をふった。


けど話題をふった途端
蓮華くんの表情が
浮かないものに
変わっていった。


「………俺のことはいい」


憂いを帯びた瞳で
哀愁を漂わせて
言ったその言葉は
力がこもってない。


もしかして私、
またやらかした?



過去のせいで
人の気持ちに
過剰反応してしまう
ものだから
些細なことでも
無視できなかった。



でもそんな
気まずい空気も
教室につけば
自然となくなる。


皆と別れて
教室に入ると
賑やかな会話が
あちこちで
繰り広げられていた。


勇気を出して
声を振り絞る。


「おっ……おはよう!」


一番近くに座っていた
クラスメートが
ちらりとこっちを
見てにこりと笑う。


「おはよう、神崎さん」


その後も私を視界に
入れた人達全員に
挨拶を返されて
内心ホッとした。



私のオッドアイの目を
見ても誰も
何も言わない。


誰も蔑みの目を
向けない。


誰も私を避けない。



誰も私を
閉じ込めようと
しない。



ここでは、本当に
私の目はちょっと
珍しいだけで
何も言われない。




ひどく心地良い。





安心感に包まれながら
自分の席についた。

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