《MUMEI》
キャンパスライフ-1
 実際通いだすと、私のような思いでここへ通う人もたくさんいることに気づいた。内心ほっとしたし、勇気も沸いた。
また、ここにきて良かったと思った。
 そんな人々の中に彼を見つけた。
そう、私は恋をした。
しかしそれは、華々しくも、メルヘンチックでも、ましてや情熱的でもなかった。
開き懸けて落ちてしまった、花のつぼみの様な、淡くはかない恋いだった。
 その彼との接点はただ一つだった。
海外の音楽文化について学ぶ講義で、ほぼ毎回近い席に座っていた人だった。
はじめはどうとも思わなかった。ただ同じ講義を受ける仲間だった。
それが恋へと変わったのは、5月のよく晴れた日のことだった。

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