《MUMEI》
白いナイトvo.3
『あれ?君、昼間の子だよね?』

「あ、若松先輩。」


眼鏡してて全然誰か分かんなかった。
雰囲気違うなぁ…。


『こんな遅くにどうしたの?』

「学校の帰りなんです。頼まれちゃって。」

『こんな遅くに女の子が一人なんて危ないよ〜。』

「大丈夫ですよ。」


若松先輩は格好いいけどなんか足りないんだよな。


『家、この辺なの?』


考えていると、若松先輩が訪ねてきた。


「いえ。もう少し行った坂の上です。」

『えっ!めっちゃ遠いじゃん!!
 送っていくよ。』


予想外の展開。


「そんな!悪いです。大丈夫ですから!!」

『いいよ。僕もそこら辺だから。』


また予想外の答え。

結局送ってもらうことになっちゃった。


「若松先輩は、どうしてサッカー部に入ったんですか?」

『聞きたい?』

「はいっ!」

『て、そんな大した理由なんてないよ。
 なんとなく笑笑』

「えぇ〜笑笑」


若松先輩と話していると面白いなぁ。


『あ、そいえば名前まだじゃない?』

「あ、ホントだ!すみません。橘愛美です。」

『そか〜。あ、愛美ちょっと』


そう言うと若松先輩は私を優しく道路の内側へと促した。

その時、車が通り過ぎた。


「わっ、すみません。ありがとうございます。」


守ってくれたのかな?

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