《MUMEI》
野外全裸露出徘徊
肩先にカメラと水筒を吊

るした弟とピンヒール&

ガーターベルト、魔性の

女と云った格好の私は何

の変哲もないカップルを

模倣するように自宅付近

の賑やかな大通りを実に

堂々と闊歩していた。

つい先日迄はSEXとは

無縁のオナニーライフを

満喫していたと云う事実

を途方もない虚構として

忘却し、処女の頃の郷愁

すら宿っていない自分を

弟のカメラは撮影した。

カメラは白昼の商店街と

云う名前の呆気なく虚構

とされてしまい兼ねない

何処でもない場所を全裸

で歩く私の姿を撮した。

破滅と紙一重の露出徘徊

を通して自我と対峙し、

自分自身の輪郭線を刹那

に垣間見た裸の破瓜期の

少女の達した境地が変態

と思われたくない全裸の

自分がそこにいただけ、

と云った境地だとしたら

理不尽に意気消沈するも

又当然と申せましょう。

しかし、徹底して悪意を

欠いた無邪気を装いつつ

鮮烈な裸体を人の目に晒

している私は自ら視線を

選んだりしないし、視線

と云う視線を平等に受け

入れてもいる。その驚嘆

すべき眺めとして他者の

劣情を悪戯に刺激する耐

え難い程醜くて恥かしい

行為に慣れ親しんで如何

なる痛みも恐れも羞恥も

抱かずにいられる迄、瞳

と云う瞳に犯される事を

調教と云うのだろう。

それにしても、繁華街を

素っ裸で徘徊している私

と遭遇した方は幸運だ、

「私はお姫様なので国民

を募っているのです」と

挨拶されて「一緒に写真

でも」とエロい顔と体で

誘われたら、断る理由何

てナシ、据え膳喰わぬは

何とやら、否、寧ろ他者

に自慢出来そうな貴重な

体験、しかし、不快に感

じる方も存在する。即ち

セクハラと同じ、受け取

る側の気持ち次第、裸が

不可ない何て云う価値観

は西洋の価値観であって

SEX=快楽=子孫繁栄

と考える本来の日本人の

価値観ではないと思う。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫