《MUMEI》
悪意の虚構装置
純白のブラウスのボタン

を上から一つ一つ外す

奴の指先が震えている。

「いよいよ制服エッチの始まりでしわ(ですわ)」

「あの和菓子屋の小娘は

白昼堂々素っ裸で辺りを

ウロウロしているから、

それなら一つ付き合って

見ようかなと思う物見高

い殿方が出て来るのも、

無理からぬ話しね」悪意

を込めてコチラの様子に

見入る腐女子。聴く人間

を徹底的に不快にさせる

術は天下一品であるが、

9割以上の腐女子は全く

箸にも棒にも掛からない

驚異的失敗作で、空虚何

て云うシロモノではなく

徹頭徹尾意味なし。悪意

の虚構マシーンは時代に

因って、或は捏造者の属

する文化的形態に因って

幾つもの異なった名前を

持っていると云う事は誰

しも衆知の事実である。

赤いリボンタイとニーソ

の他には何も着ていない

私の痴態を腐女子に披露

するように奴は素っ裸の

私を羽交い締めにした。

この感じはメンヘラーの

私でも流石に恥かしい。

「オラ、携帯のカメラで

撮られてるぜ、もっと顔

を見せなきゃダメダメ」

完全にハメられた。学校

と云う名前の野蛮からは

遠くない世界で、一体誰

を友として誰を敵として

想定するのか、と云う事

をちょっぴり間違えると

此の有様。しかし、薄暗

く、湿った欲望としての

自分を持て余していた頃

の私も腐女子だったから

手の内は心得ている。

絶体絶命の窮地に陥る時

こそ、積極果敢な攻勢が

唯一の打開策であろう。

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