《MUMEI》

「え……なんで?なんで私と?」


「このまま寮に戻っても嫌な予感しかしねぇし、一人で時間潰せるような場所も少ないからな。お前がもし良いなら二人でこのまま出掛けないか?」



ど、どうしよう。
なんか、気分が良い。
嬉しい……のかな。


「う、うん。どこ行く?」



この嬉しさは
どこから来てるのかな。


今はまだ分からない
けど、とりあえず今は
ずっと憧れてた
友達と一緒に
学校帰りに寄り道できる
からってことに
しておこうかな。


なんかちょっと違うけど
そう思うことにした。





「そういえば、学園の外に出るのは駄目なの?」


「は?なんで」


「だって、学園内で時間を潰せる場所がないなら学園の外に出れば良いと思うんだけど……」


「外出許可が降りるのは土日祝日と緊急時のみ。だから外に出るのは無理だな」


「へー、そうなんだ」



社長令嬢・令息の
生徒ばかりだから、
規則も厳しいんだな。


「しかも帰省以外の外出だと教師がついてくるんだ。生徒を監視するのも大変だよな」


「監視って……そんなにするかな?普通……」


「この学園は普通じゃない奴の集まりだからな。金目当ての犯罪は目白押しだ。その犯罪から生徒を守るために生徒を監視してんだから、ここの大人は」



なんか、別次元の話
としか思えないなぁ。


犯罪に遭うのが
ここじゃ見慣れた
ものだってことも
そうだし、
一見ゆるそうだった
この学園の警備も
意外と厳しいんだ
ってことも
そうだし…………


この学園に来てから
犯罪にあったことは
ないけど、
蓮華くん含む皆は
どうなんだろ?



「…………まあ、俺の周りではそんな話聞かないから、今んとこはここの警備はばっちりなんだろうな」


あ、よかった。
最近は犯罪はないんだ。


「そっか!でもそれなら外出するときは余計に気を付けないとね!あ、ところでどこに行く?」


しばし考えた後、
蓮華くんは応えた。


「……ショッピングタウンに行くか」


なにその
楽しそうな場所!?

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