《MUMEI》
真実の断片11
くそぅ。なんでなんだ。なんでこんなことになったんだ。

悪いのは真弓じゃない。真弓を追い詰めたお前らが悪いんだ。お前らなんかいなければ真弓が罪を犯すこともなかった。死ぬこともなかったんだ。

くそぅ、くそぅ………



ふと、社員の言葉が頭を過ぎる。

「梨本さんってなんか暗いイメージあったもんな。相談する人いなかったんじゃない」

いたさ、相談する人はいたんだよ。お前らは相談もされなかった人間なんだ。真弓の悪口を言う資格なんてない。俺は聞いていたぞ。いかに酷い待遇を受けていたかを。



−−あれ…………あれ………


聞いていたんだよな、俺。


………それで……………


俺は真弓に何かしてあげられたんだろうか。

………何もしてやれなかった………


あれ?


俺は何をしていたんだ。助けろよ。相談されていたんだろ。何故何もしなかったんだ。

馬鹿、馬鹿、馬鹿。大馬鹿野郎だ、俺は。

俺が助けていたら真弓はこんな罪を犯すことなんてなかった。

−−罪を犯した真弓はどうしたんだっけ?


俺のところに来たんだろ。
何をやっていたんだよ。俺がしっかりしていればこんなことにはならなかった。

あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


−−そうだ。俺が悪いんだ。
ごめんな、真弓。許してくれ、俺は本当に大馬鹿野郎だよ。守ってあげれなくてごめん。


守りたかった。


守りたかった。


守りたい。


−−そうだ、まだ守れる。

今の段階だとまだ真弓は自殺しただけで人殺しにはなってないんだ。

−−なら守るよ。真弓は悪くない。殺したのは…………俺だ。

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