貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
Soul in the derkness その3
眩闇の月が森を照らす。
辺りには蠢く影が一つ。
それは音も立てず道を疾駆する。
「さて。どうやって攻略するか一一一一一」
目線の先には、城が有った。
老人の話に依れば、其処に今回の獲物が居る筈なのだ。
張り巡らせた思考の網の中、最善たる手段を即座に弾き出す。
案ずるより動こう。
青年は鞘から剣を引き抜いて、再び城へと続く道を疾り抜けた。


番兵達は暇を持て余していた。
こんな仕事に意味はあるのか。
自分はこんな所で雇われているべきでは無い。
そんな下らない惰性の日々を過ごしながら、今日まで来た。
だが、それは一一一。

「どうも。一宿一飯の為に貴方達の主人を殺しに来た。死にたければ剣を抜け。それが嫌なら、此処から立ち去れ」

一人の剣士の来訪によって唐突に破られた。
「はぁ?何をふざけてるか知らないがなぁ。死ぬのはお前のほ……」
「喰い殺せ、狂神の爪蹤」番兵は、死ぬのはお前の方だ、と言いたかったのだろう。
その言葉を紡ぎ終わる前に。
その男は絶命した。
否、させられたのだ。
ぐしゃり、と肉塊が崩れる。
赤いソレを拭わぬまま、
何も無かったかの様にエグザスは剣を振るい続ける。
「さぁ、次はどいつだ。かかってくる奴は好きな死に方で死なせてやるぞ」
血に塗れた悪魔が笑う。
それを見たモノ達は、全員が全く同じ感情を抱いた。

無理だ。あいつには勝てない。

そう悟った。
逃げ惑い、怯える者を尻目にエグザスは城内に突入した。

城主、ヴァンデスは感じた。
かつて無い程の憎悪が来る。
自身を殺しに来る。
そいつは同じ魔導剣の使い手である事もまた、同時に。
「待っているぞ、敵よ。私の期待に応えてくれ」
自分が殺した残骸を踏みしめ、楽しげな笑いを噛み殺しながら、呟いた。
無論、聞こえる訳も無い。
無価値な独白が風に流れた時。
そこへ、望む者が現われた。
「あんたがヴァンデスか。悪いが一宿一飯が賭かってんだ。死ね」
青年、エグザスはそれだけ言って剣を振り抜いた。
ガギャンと言う衝突音と共に、力がぶつかり合う。
「ほう。力は中々の様だ。面白いではないか」
ヴァンデスは不敵に笑む。
二人の戦いは、まだ、始まったばかりだった。

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