《MUMEI》
残酷な「命」
どれほど時間がたっただろうか。
母も父も来ない。
二人が忙しいのはわかっているが、退屈すぎる。
看護師さんとの会話はなくなるし。
同じ空間にいることが気まずい。
それにしても、改めて心臓病ということを考えていると、少し怖くなる。
苦しさにもがいて死ぬのか。
安らかに死ぬとか。
それしか考えていないかもしれない。
「この命はなんのためにあるのかな…。」
そんな言葉を呟くと、睡魔が襲い、私は眠りに落ちた。

深夜の2時ごろだろうか。
うっすら光る少年が私の病室に入ってきている。
歳は…16くらいだろうか。
まてよ。そんなことを考えている暇はないと我にかえり、私は急いでナースコールを準備する。
「まぁ驚かないでよ。怪しいものじゃないから。」
少年は私に近寄る。
「君の願いを叶えてあげるために来たんだ。」
「え…」
非現実的なことが起こっている。この場合はどうすればいいのだろうか。
「貴方は一体何者なの…?」
そんな質問を少年にすると、少年はふふ、と笑った。
「あぁ、ごめんね。自己紹介済ませてなかったよ。僕の名前はキリア。誰にも見えない。誰にも邪魔されない星から来たんだ。」
右目の下の涙ぼくろが特徴的なキリア。そんな彼は一羽の小鳥を取り出した。何処から出たのかがきになるが、とりあえず彼の話を聞こう。
「僕は何だってできる。君を殺すことも、この鳥を殺すこともね。」
そういうと、キリアは手に乗っている小鳥をグシャァッと生々しい音を立てながら潰した。
「私もその鳥も死んでしまうんだもの。せめて死ぬなら貴方に殺されるより自分で自分を殺すわよ。」
少し動揺している私を見て彼は笑う。早く消えればいいのに。そんなことを思っていると、彼が消えていた。

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