《MUMEI》
移動。
「これから君達は佐久間新斗の中に入ってもらう」
「君は行かないの?」
「君達で本物の佐久間新斗を探し出さなければ意味がないんだよ」
「その口振りだと、佐久間くんの偽者がいるって考えていいのかしら」
「厳密に言えば、みんな本物さ。けど、神名くんの知ってる佐久間新斗ではない。百聞は一見に如かず。入ってみたらわかるよ」
小鳥遊晶は新斗の額に手を当て、僕達にも同じことをしろと促した。
「時間制限は特に設けないけど、君達の気持ちが負けたらゲームオーバーだよ。君達のことはずっと見ているからね」
「うん」
「わ、わかった」
「それじゃあ、いってらっしゃい。健闘を祈るよ」
目を瞑ると、頭の中が分子レベルまで分解されていくような感覚がした。
思考が、移動する。

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