《MUMEI》 『結婚式ごっこ』クラスメイトの半数くらいの人に囲まれたままその式が始まった。 内容は、彼女と手を繋ぐこと。花婿になりきるのまではまだよかった…。ただあまり乗り気ではなかったのが『誓いのキス』だった。しかしキスをするのは彼女の頬であり唇ではなかったのが幸いだった。内心やりたくなかったのだが周りの空気や期待を察した以上やるしかなかったのだ。 覚悟を決めた後、僕の顔が彼女の横顔に近づけていく… そして 「チュッ」と彼女の頬に僕の唇が重なり、甲高い音が鳴った。 その瞬間、周囲の反応は盛り上がり、歓喜と驚きで一気に騒がしくなった。 これで終わりかと思った矢先、この騒ぎに他のクラスの人が駆け寄って来てさらに集まってきたのだ。 そこでまだこの騒ぎの原因を知らない人の為にもう1度しなくてはならないこととなってしまったのだ。 仕方なく僕はまた渋々と僕の唇を彼女の頬に近づけて 「チュッ」とまた甲高い音が鳴ったかと思えば再び歓喜と喜びで騒がしくなった。 またこれで他の人が少しずつ集まっていき、一度以上見た人からは「もう一回しろ」とのアンコールがあがり、またキスをする。→再び騒がしくなる。→もっとしろとの声→またキスをする…… の繰り返しで恐らく10回はしたのかもしれない。 こうして実話となったこの件はこうして今もネタとして密かに語られていることになっている。本当にキスしたのか?と他校の人から聞いてくるが今となっては恥ずべき事なので一応否定している。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |