《MUMEI》

俺は、傍の縁戚に座り込む。

ケツポケットから煙草とライターを取り出し、火をつけ…大きく、吹かす。





「マジかよ…、そっか…」








―――何かいつかそんな日が来るんじゃねーかって…、

裕斗がこんな仕事始めた時からそんな気はしてた……。






でも、まさかこんなに早くだなんて……


裕斗はじっと俺を見下ろしていたが、ゆっくりと俺の隣に座ってきた。





なんかとても、裕斗の顔を見る気にはなれなくて、
俺は少し離れた自販機を意味も無く見据える。






頭の中が熱い…






頭の中が冷たい…







それでも…俺は口を開く。





――開かなければいけない。





「その…相手とは…、両想いなのか?」




「うん…」




静かに…直ぐに…答えが返ってきた…。




「そっかぁ…、そっか……はは、何だ…、俺の立ち入るすきなんかゼロの状態で別れ話しに来たんか…」





「…ゴメンね…なお」





そしてそのまま……






暫くの沈黙が続く。






俺は二本目の煙草を縁戚に擦りつけ、


漸く裕斗の方を見た。


――すると裕斗は、膝を抱え、





震えながら
、音も無く…






泣いていた。







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