《MUMEI》
裸婦モデル 1
小さな郵便局に強盗が立てこもる。中年の小柄な男が、銃を持って郵便局員を脅している。強盗は失敗し、すでに郵便局の周囲は警察車両と野次馬で一杯だ。マスコミもいるかもしれない。

犯人の男は額に汗をかいて焦っている様子だ。銃は本物か偽物かわからない。若い女性局員は、端のほうにすわり、怯えていた。

電話が鳴る。犯人の男が乱暴に受話器をつかんだ。

「もしもし」

『言われた通り車を用意した。人質を解放しなさい』

「一人、人質を用意しろ。美人婦警だ。美人だぞ。俺のタイプじゃなかったらチェンジだ」

『無茶言うな』

「用意できねえなら、もう破れかぶれだ。捕まる前に、ここいる女の人質を片っ端から素っ裸にするぞ」

『そういうことはやめなさい!』

犯人のセリフを聞いて、女性局員たちが小さく悲鳴を上げた。全裸にするのだけは許してほしかった。

「だったら急いで人質を用意しろ!」

犯人は一方的に電話を切り、銃を人質に向ける。男性局員は二人しかいない。

「おい、男ども、英雄になろうとは思うなよ」

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