《MUMEI》
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紗季は意を決した。お金のためにも、女優修行のためにも、美術モデルに挑戦することに決めた。麻未は満面笑顔で喜んだ。

早速、麻未は、自分が登録している事務所を紹介した。紗季は、説明文を読んだ。

アトリエ、絵画教室、大学、予備校など、派遣される先は一つではない。容姿は問わない。ヌードデッサンは芸術作品なのだから、ファッションモデルの募集とは違い、太めな女性も、痩せている女性も、胸が大きい女性も、小さい女性も、いろいろいて良いのだ。

明るくて健康な女性を求めていた。20分ポーズを取り、10分休憩して、また20分。それを何回か繰り返すので、確かに健康で、それに耐え得る人でないと困る。

途中で気分が悪くなって退散では、多くの人に迷惑をかけてしまう。恥ずかしくていきなり逃げ出すなんてことをされたら、主催者側は蒼白だ。

紗季は覚悟を決めて、用紙に記入した。

氏名、年齢、経験の有無。これは未経験でもOKだ。身長、体重、スリーサイズ。自己PRと動機。

「動機?」

動機がお金が欲しいからでは正直過ぎると思い、女優を目指していることを書いた。時給は3000〜4000円。場所によっては金額も変わる場合がある。

3時間で15000円の仕事もある。紗季は腹を決めた。

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