《MUMEI》 11「お疲れ様」 全部終了し、控室に入ると、安藤が優しく声をかけた。バスタオル一枚の紗季はほとんど放心状態に近かった。 「ありがとうございます。恥ずかしかったあ」 「そのうち慣れるよ」 「慣れますかね?」 「誰だって最初は恥ずかしいよ。でも大丈夫。星奈さんならできるよ」 紗季は服を着ると、すぐにスマホを取り出し、岡田高正に電話した。 『あ、もしもし紗季チャン』 「今どこ?」怒った声。 『え、何で?』 「喫茶店で待ち合わせしましょう。聞きたいことがあるから」 『・・・わかった』 電話を切ると、岡田は焦った顔になった。紗季は完全に怒っている。というか、誤解している。この誤解を解かないと、恋愛どころか友情も危ない。絶交させられてしまう。 「参ったな」 紗季はムッとした顔のまま早歩きになる。 「卑怯なことするな。そんな男だとは思わなかった。人の裸が見たいなら口説きなさいよ。こんなズルイやり方は最低だわ」 前へ |次へ |
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