《MUMEI》
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劇団「難破船」の勝負作『裸婦はエロスか芸術か』は、今までの作品の中で、最高の観客動員数を記録していた。皆喜んだ。

毎日稽古をして、打ち合わせを重ね、セリフを変更しながら本番に挑む。演劇は生ものだ。映画やドラマは一度撮影したらそれが変わることはないが、演劇の場合は、受けなかった部分を修正することができる。

今泉哲はマーケティングにも力を入れた。バスローブに裸足の紗季の写真は人々の目を惹く。かわいい笑顔に見事な脚線美。そして、ラストシーンの口コミは、特に男性客を劇場に運んだ。

清らかなイメージのヒロイン・紗季が、バスローブをバッと脱いで全裸になったかとヒヤッとするところで暗転。会場にざわめきが起こる。かなり刺激の強いシーンだ。

再び会場が明るくなると、バスローブ姿で裸足の紗季が満面笑顔で舞台の中央に立ち、ほかのキャストも横一列に並んで、両手を広げて観客席に一礼する。すると、大拍手が巻き起こった。

劇が終わって、来てくださった観客を、出口でキャストが劇の衣装のまま見送り、握手したり、談笑したりする。無名の劇団だからこそできる交流がある。

特に紗季はバスローブ一枚に裸足にビーチサンダル。バスローブの下は何も身につけていない。ファンが殺到した。岡田は心配でならなかった。

一応、男性陣が近くにいてボディーガードをしているが、紗季も緊張していた。しかし笑顔をたやさず、握手したり、会話したりしてファンに応えた。

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