《MUMEI》 13『裸婦はエロスか芸術か』は大成功したが、だからこそ余計に次回作が重要だ。ここで面白くない劇を見せてしまったら、せっかく集客した大勢の人々が、無惨にも来なくなってしまう。 脚本・監督・演出・演技指導を兼任する団長の今泉哲は、新作を書き上げた。 「さあ、脚本を配るよ」 「凄いね、次から次へと、天才だね」未来が笑う。 「あ、その褒め方は、またミクが手伝ったの?」翠が聞く。 「今回は手伝ってないよ」 「じゃあ、危ないか」麻未が笑う。「男目線の独り善がりなストーリーなら修正しないと」 「アミー、それは脚本を読んでから言いな。それに今回のヒロインはアミなんだから」 「ホント?」麻未は赤面すると、脚本をパラパラとめくった。 今泉哲は、得意満面で概要を説明する。 「やっぱりね、インパクトが大事なんだよ。お金払ったからって、最初から退屈だとね、お客さんは途中で出て行っちゃうからね。最後まで観てくれると思うのは大間違いのコンチキタローよ」 「コンコンチキじゃなくて?」未来が笑顔で聞く。 「ひねりを加えたバックドロップは効くんだ」竜也も乗る。 前へ |次へ |
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