《MUMEI》 全裸でレントゲン 1レントゲン室の前にある長イスに、一人の女性がすわっている。肩に触れるか触れないかの黒髪。目がパッチリしていて、口を真一文字にしている感じがかわいい。爽やかなブルーのワンピース。短めな丈。裸足にスニーカー。 レントゲン室から技師の川北耕史が顔を出した。「二喜麻ふみさん」 「はい」ふみはゆっくり立ち上がり、真顔で耕史を見つめた。 「・・・・・・」 川北耕史、30歳独身。身長179センチ。彼は、可憐な美少女に思わずドキッとした。夏らしい薄着だけではなく、とびきりにかわいい女の子ではないか。 「どうぞ、中へお入りください」 「はい」 ふみは中に入ると、レントゲン技師の指示を待った。耕史は遠慮がちに彼女の服を指差す。 「あの、レントゲンを撮る場合、ワンピースは脱いでもらわないと」 「あ・・・」ふみは赤面すると、「どうしても脱がなきゃダメですか?」 「そうですね」 「恥ずかしい」 ふみは顔を紅潮させて、唇を噛んだ。耕史はあまりじろじろ見ないようにする。下着姿になるのは、さぞかし恥ずかしいだろう。しかし、ふみは、もう一度聞いた。 「このままじゃ、ダメなんですよね?」 「ダメですねえ」 「わかりました」 ふみは意を決したように、ワンピースを脱いで籠の中に入れる。「恥ずかしい・・・」 ブラジャーも場合によっては外してもらうことになるかもしれない。耕史は下着を見ようと、彼女のほうを見た。 「え?」 何と、ふみは、生まれたままの姿になっている。彼は驚いて壁のほうを向きながら話した。 「下着まで取らなくても良かったのに」 「いえ、あたし、きょうまさかレントゲン撮影があると思わなかったので、ワンピース着て来ちゃったし、下着も何も身につけていなかったんですよ」 「嘘・・・」 あり得ない。いくらもうすぐ暑い夏が来るとはいえ、ワンピースの下に何も身につけていないなど、そんな女性聞いたことがない。 (落ち着け、落ち着くんだ) 耕史は深呼吸すると、彼女を見ないように話した。 「まあいいや、その上に着てもらうから」と、ロッカーから病衣を出した。ところが彼女は言った。 「いいですよ、裸のままで」 「は?」 「ちょっぴり恥ずかしいけど、大サービスです」 白い歯を見せられて、耕史の理性は一瞬500マイル先まで飛びかけたが、何とか引き戻した。 「いや、そういうわけには・・・」 「えええ」ふみは下から睨む。身長差22センチ。「もしかして、出血大サービスにならない?」 「そんなこと・・・ないけど」 「いいじゃん」 良くない。絶対に良くない。もしかして罠か。あとで全裸でレントゲン撮影したと密告されたら、首が飛ぶ。強要したと嘘を言われたら完全なセクハラ、いや、ヘタしたら強制わいせつになるか。 「何独白してるんですか?」 「ドクハラなんかしてないよ」 「はい?」 「それに僕はドクターではない」 赤い顔をする耕史を、ふみはニンマリした顔で見つめると、さっさとレントゲン撮影をする板の前に立った。 「本当に裸のままでいいの?」 「いいよ」 「じゃあ、撮ります」 キレイな背中だ。見てはいけないと思いながらも、かわいいヒップだ。たまらない。思わずバックから攻めたくなるが、仕事中だ。妄想をかき消し、彼は言った。 「もう少し右に・・・」 「口で言われてもわからないから、いいですよ、触って動かしても」 (マジか?) 「大丈夫、セクハラとか言わないから」 「あ、じゃあ」 耕史は、ふみの美しい裸体に見とれながら、両手で腰を触り、肩を触り、ちょうどいい位置に彼女の体を動かした。 「では、大きく息を吸って、ここで止めます」耕史は素早く部屋に入り、ドアを閉め、胸のレントゲンを撮影すると、すぐに出てきた。「はい、楽にしてください」 次はいよいよ全身を撮影する。胸のレントゲンは後ろ姿しか見られないが、全身撮影は仰向けになる。胸も股も全部思いきり見れてしまう。 「じゃあ、ここに乗ってください」 「あ、これ前やったことある」 そう言うと、ふみは籠の前まで行き、スニーカーを脱いで戻ってきた。裸足だ。これで完全にスッポンポンだ。 次へ |
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