《MUMEI》
3
ふみは笑うと、耕史を笑顔で睨んだ。「今、心の中であたしの悪口を言ったでしょう?」

「言ってないよ」

「絶対言ったよ」

「言ってない」

耕史の額に汗が滲む。

(エスパーかよ)

「酷いな」

ふくれる彼女を見て、耕史は思わず言ってしまった。

「違うよ、心の中で呟いたのは、その・・・いい体してるなって」

「嘘」ふみは満面笑顔だ。「あたし、いい体してる?」

自分でも自信があるから全裸になったくせに。耕史はそう思ったが、勢いに乗せて彼女を褒めた。

「凄く魅力的な体してるよ」

「嬉しい・・・凄く嬉しい」ふみは顔を紅潮させて、本当に喜んでいるようだ。「どう思ってくれてるのかなって思って。やっと言ってくれた」

それにしてもセクシーだ。豊かな胸。引き締まった美ボディ。見事な美脚。これはたまらない。耕史は、ふみの腕や脚や腰を直接触って体を横向きにしたりして、全身撮影を終えた。

「ふう・・・」(しあわせ)

ふみが籠の前へ行く。心身ともにエキサイトしていた耕史は、高鳴る胸を押さえて言った。

「次は心電図だよ」

「はい」

「心電図の部屋は一旦廊下に出るから、裸のままというわけにはいかないから」

「ワンピース着てまた脱ぐの面倒くさいな」

「じゃあこれを着て」耕史はふみの裸体を無遠慮に見ながら、病衣を手渡した。

「はい」

彼女はそれを着ると、ワンピースとバッグを持ち、スニーカーを履いてレントゲン室を出た。

幸い近くに女性技師がいない。女性技師が女性患者に機転を利かせ、「私がやります」と言ったら、耕史は譲るしかないからだ。彼は素早くふみを部屋に案内し、自分も入ってカーテンを閉めた。

「じゃあ、脱いで」

「はい」

ふみは大胆に病衣を脱いで籠の中に入れ、スニーカーも脱いで全裸のままベッドに仰向けに寝る。耕史は彼女の両腕両脚に機械を挟み、胸にもつけて準備した。

「じゃあ、力抜いて、リラックスして」

「あの・・・あなたのお名前は?」

「え・・・川北だけど」

「名前よ」

「耕史」

「コージさん、男の人に全裸を見られて胸がドキドキしているところで心電図撮って、正常な値を測れるの?」

(ドキドキしてるんだ?)

「そっか。それはヤバイね」

「でしょ」

「なるべくリラックスして。見ないから」

「はーい」

(かわいい!)

耕史こそ胸をドキドキさせながら心電図を測った。

「はい、じゃあ、次はエコー検査です」

「エコー検査も裸?」

「そうだよ」

「恥ずかしい!」

ふみはキレイな白い歯を見せる。耕史は夢の中だ。役得だ。

「エコー検査は隣の部屋だから、そのまま裸で移動して大丈夫だよ」

「ホント? 誰にも見られない?」

「大丈夫だよ」

ふみはスニーカーだけ履き、ワンピースとバッグを抱きかかえて、隣の部屋まで歩いた。

真っ裸の彼女がベッドに仰向けに寝る。耕史は、どさくさに紛れてふみの両腕をつかむと、枕もとに上げ、クロスする形にした。このまま手足を縛りたい衝動にかられたが、何とか耐えた。

「この無防備な体勢は怖いね」

「怖い?」

「変なところ触ったらダメですよ」

「変なところ?」耕史は笑った。「胸にゼリーを塗るよ」

「嘘」

「ホント」

「恥ずかしい・・・役得ですね」

「ハハハ」

笑って誤魔化すと、耕史はふみの胸にゼリーを塗る。彼女は口を真一文字にしていた。

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