《MUMEI》
2
爽やかな笑顔を向けると、耕史はバスルームに入った。ふみはベッドに上がると、照明を薄暗くして、音楽を選んだ。ムードのある音楽が流れる。

「あれ?」

ベッドに上がって初めて気づいたが、ベッドの四隅に手枷足枷がついている。

「嘘、ここSMルームだったの?」

耕史はそれを知ってこの部屋を選んだのだろうか。だとしたら危ない。

(SM愛好家だったらどうしよう?)

しかし、手足を縛られながら全身オイルマッサージをされたら、さぞかしスリリングだろう。ただ、犯されたら困る。無抵抗の状態で襲われたら防ぎようががない。

耕史をどこまで信用できるかの問題だ。いや、始めは約束を守るつもりでも、女が素っ裸で手足を大の字拘束にされ、全くの無防備と知った男は、頭に血が上ってエキサイトしてしまい、暴走してしまうかもしれない。

そうなると、どんなに「やめて」と懇願しても、そのまま止まらずに思いを遂げられてしまう。

迷うところだ。

耕史がバスルームから出てきた。セックスをするわけではないので、裸のまま出るわけにもいかず、彼は浴衣を着て部屋に戻った。

「お待たせ」

「じゃあ、よろしくお願いします」

ベッドの上で正座して頭を下げるふみがかわいい。耕史は燃えに萌えた。

「じゃあ、最初はうつ伏せになって」

「はい」

ふみはバスタオル一枚のままうつ伏せになる。

「バスタオル取ってもいい?」

「恥ずかしい」

ふみは緊張の面持ちになると、自分でバスタオルを取り、うつ伏せになった。

耕史はオイルを背中に吹きつけ、首筋から肩をマッサージしていく。

「ん・・・」

そのまま背中、腰と入念にオイルマッサージ。

「気持ちいい」

「気持ちいい?」

「凄く気持ちいい」

うっとりする彼女。両腕両脚もたっぷり揉みながら、聞いた。

「ここは触っちゃダメってところはある?」

「・・・どうぞ、全身どこでも。任せます」

「お尻は?」

ふみは、唇を噛むと、笑みを浮かべた。

「どうぞ」

承諾を得ると、耕史は両手でお尻をマッサージする。

「ん・・・」

彼氏でもない男性にお尻を触られている。あり得ない。水着でアカスリやオイルマッサージを受けたことはあるが、全裸は初めてだ。やはり気持ち良さが全然違う。

「気持ちいい」

散々お尻を味わうと、耕史は軽く腰を触った。

「じゃあ、仰向けになって」

「嘘」

「ホント」

「仰向けは恥ずかしい」

真っ赤な顔をすると、ふみはセクシーな身のこなしでゴロンと仰向けになった。

胸と股を手で隠すセクシーポーズがたまらない。

「ふみチャン」

「何?」

「胸と股はどうする?」

「いいよ、思いきりマッサージして」

それでこそ小悪魔だ。耕史は心底燃えた。

最初は両脚を入念にマッサージする。それからおなかを両手で揉んで、徐々に手が上がっていく。ふみは赤面していた。かわいい。

「あ・・・」

両手で左右の胸をマッサージする。ふみは身じろぎした。瞳を閉じて、口を真一文字にしている。

「んんん」

感じているのか。もしかして性的に感じてしまっているのか。やはり胸は二大性感帯の一つだ。快感に身をよじっても不思議ではない。

耕史は、いよいよ本丸へ向かう船のように、意を決して女の子のいちばんの弱点へ迫る。

両手が内腿に来て、ふみは硬直した。レントゲン室で裸は見られたし、あちこち触られたが、股をもろにマッサージされるとなると、意味が違ってくる。

ついに手が秘部へ。耕史は彼女の股を入念にマッサージしようとする。

「待って」

「え?」

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