《MUMEI》
2
真っ赤な顔で目を丸くする拓也の周りに、女性たちが集まってきた。

「嘘」

「感度いいんだ」

「とにかくやめてください」

「やめないよ」とふみは弱点をマッサージしまくる。

「オレのお父さんヤクザだぞ」

「はあ?」ふみは大きな口を開けると、睨んだ。「そんなふかし通用しないよ」

「ふかしじゃない。本当だぞ。今すぐにほどいたら許してやる」

ふみはムッとすると、掌でタマをパンパン叩いた。

「あああ!」

「それで脅してるつもりかよ?」とパンパン叩く。

「あああ・・・やめ、死んじゃう・・・」

本気で悶え苦しんでいるようにも見える。ふみは叩くのをやめると、タマをさすった。

「痛かった?」

「あああ・・・」

「ねえ、ふみ、まさか意地悪する気?」女子の一人が目を輝かせる。Sだ。

「あたし意地悪なんかしてないよ。普通にマッサージしてあげてるだけだよ」と両手で股へのマッサージを続ける。

「ちょっと、ちょっと・・・」

「ちょっとじゃわからないよ。男の子なんだからハッキリ言ってみな」

「あああ・・・やめろ、やめろ!」

「やめろなんて命令口調じゃやめないよ」

「バカ、やめろ・・・あああ・・・あっ・・・・・・」暴発。

「嘘!」

ふみも目を見開いて手を離した。拓也は真っ赤な顔で両目を閉じ、横を向いている。

「・・・・・・」

ほかの女子も笑顔ながら、良くないことをしたという自覚はある。ふみはすぐにシャワーで自分の手と拓也の股を洗いながら言った。

「拓也君。悲鳴は勘弁してあげる」

「・・・・・・」

「ほどいてあげるけど、暴れたらダメだよ。用心棒がいるからね。暴れて女の子に手出したら裸のまま組み伏せられるよ。ヤでしょ?」

「・・・早く、ほどいてください」

ふみは拓也の手足をほどいた。ふみと二人きりでも恥ずかしいのに、若い同じ年代の女子数人の前で赤っ恥をかかされ、復讐を心に決めながら、拓也はマッサージルームから出ていった。

「ふみ、Sだね」

「Mだよ」

「どこがよ」

「MだからMの喜ぶことがわかるのよ、ククク」

「喜んでいるようには見えなかったけどね」

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