《MUMEI》
4
ふみは、事務所に連れて行かれた。生まれて初めて入るヤクザの事務所。そんなに広くない。ふみは失禁しそうな恐怖に震えながら、部屋の真ん中に立った。

「あの・・・」

窓を背にした大きなデスク。しかしイスにすわっているスーツ姿の男性は、ふみに背を向けていた。金髪だ。まさか。

金髪の男はくるりとイスを回転させ、ふみと向き合った。木場拓也だ。

「久しぶり」

「あの・・・謝ります。どうもすいませんでした」ふみは深々と頭を下げた。

しかし拓也は許さない。

「どうもすいませんでした・・・で済むことだと思う?」

「え?」

「よくも女の前で赤っ恥かかせてくれたね」

ふみは泣きそうになったが、何とか堪える。

「ちゃんと警告したのに、パンパン叩いてくれたねえ」

「あ・・・」

ふみは膝を曲げる。しかし先に拓也が言った。

「土下座したってダメだよ」

「・・・・・・」

ふみは思わずムッとしてしまう。確かに酷いことをしたかもしれないが、男だろう。許してほしかった。

「どうしたら、許していただけますか?」

「絶対に許さないよ」

「そんな」

拓也は立ち上がる。

「タイプの子なら、自分でいたぶるんだけど、性格悪い女嫌いだから。あとは任せるわ」

そう言うと、拓也が部屋を出て行こうとする。ふみは泣き顔で呼び止めた。

「待ってください、待ってください!」

「何?」

「どうか許してください。本当に悪いことをしてしまったと反省しています」

「反省?」拓也が睨む。

「いや、反省っていうか、どうか、勘弁してください。死ぬほど怖いです。心臓が止まりそうで・・・」

胸に手を当てる美少女。ほかの男たちは興奮していた。美しきヒロインが絶体絶命の大ピンチに追い込まれ、怯える表情は、Sにはたまらない。

「許してほしいの?」

「はい。許してください」

「じゃあ、全裸で土下座しな」

ふみは口を真一文字にすると、赤い顔で拓也を見た。

「本当に全裸で土下座したら、許していただけますか?」

「おっ」

「おお」

男たちが騒ぐ。拓也は真顔だ。

「やれるもんならやってみな」

ふみは、服を脱ぐ。男たちは目を見張る。思いがけなくも美少女の生着替えが見れる。男たちは燃えに萌えた。

拓也は怒った調子で睨んでいる。ふみは躊躇なくミニスカートも下ろし、ピンクのセクシーな下着姿になった。裸は勘弁と言うかと思った拓也の推測は外れた。

「・・・・・・」

ふみは真っ赤な顔をしながらブラジャーを取り、最後の一枚も自ら脱ぎ、素っ裸になってしまった。

「かわいい!」

「ヒューヒュー」

「ポーポー」

男たちから喚声が上がる。ふみは全裸のまま土下座した。

「どうもすいませんでした」

拓也はムッとすると、何も言わずに部屋から出て行ってしまった。ふみは顔を上げると、男たちに聞いた。

「あの、許してくれたということでしょうか?」

「姉ちゃん、かわいいじゃん」

「いい体してるねえ」

「え?」

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