《MUMEI》
10
男は構わずふみの全身を貪るように愛撫する。ふみは彼の服を両手でつかんで哀願した。

「お願い許して、許してください」

「だから許さないよ」と股を弄る。

「あああ!」

このままでは犯されてしまう。ふみは男の手首をつかみ、懇願した。

「待って、待って、あたしの話を聞いて」

「何だよ」

「触ってもいいですから、レイプだけは許して」

男はじっとふみを見ている。ふみも弱気丸出しの哀願に満ちた瞳で男を見つめる。

「よーし、触ってもいいんだな」

「ですから、レイプだけは絶対にしないと約束していただけますか?」

「・・・わかったよ」

こういう場合、ギャーギャー騒いだために、殺すつもりではなかった犯人が慌てて首を絞めてしまう悲劇が考えられる。よく刑事ドラマを見るふみは、そのことが頭をよぎった。

とにかく悲鳴を上げるのは危険が伴うのだ。自分も冷静になり、相手も冷静にさせるほうが安全だ。相手を刺激して興奮させたり逆上させるのは非常に危ない。

「どこでする。玄関か、それともベッドの上か?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫