《MUMEI》
2
少し嬉しくなったふみは、旅館の名前と場所を教えた。まさか本当には来ないだろうと思った。

電話を切ると、夢遊病者のように1階のフロアへ行く。誰もいない。彼女は辺りを見回した。防犯カメラはないようだ。

「・・・・・・」

野外では二度と冒険をしないと誓ったはずなのに、いけない妄想をして下半身が疼き、胸のドキドキが激しくなっていく。こうなるともう、発作を起こしたように、危険なスリルを味わいたくなる。

ふみは浴衣を脱いで全裸になった。両手を上げて思いきり伸びをする。

「あああああ・・・」

この開放感がたまらない。浴衣をソファに置いたまま、素足で歩く。浴衣から離れれば離れるほど緊張感が増す。

「ヤン、怖い」

大胆にソファに裸のまま寝てみる。仰向けも死ぬほど怖いが、うつ伏せはもっとドキドキする。思わず昇りつめて来てイキそうになる。

「あああん!」

まさか昇天するわけにもいかず、すぐに起き上がった。

浴衣はかなり遠くにある。もしもここに人が来たらアウトだ。ふみは笑みを浮かべると、ソファにすわった。

「部屋で寝ている男どもよ、とびきりの美少女がスッポンポンでいるのも知らずに、グースカ爆睡しているとは、何てアンラッキーな・・・ヤバイ!」

足音。しかも大勢だ。声が聞こえる。ふみは浴衣まで走ろうとしたが、間に合わない。若い男たちがゾロゾロ入って来てしまった。彼女は慌ててソファの陰に隠れた。

(嘘、どうしよう?)

全裸でしゃがみ込む。息を潜めて男たちが帰るのを待ったが、彼らは騒ぎ出した。

「あれ。浴衣?」

「誰か忘れていったのか」

「何、浴衣を脱いでか」

男たちは10人もいる。人相が悪い。金髪にリーゼントに、もろ不良だ。男たちは方々に散ってフロアを歩き回る。まるで何かを探しているようだ。

(ヤダ、どうしよう)

ふみは生きた心地がしない。全裸なのだ。見つかったら終わりだ。

(助けてください)

天に祈ったが、果たして約束も誓いも平気で破る悪い子の願いを聞いてくれるか微妙だ。

いよいよ男たちが両側から挟み撃ちするように近づいて来た。もはや万事休した。

(ヤダ・・・困るう)

恐怖のあまり、ふみは両目を真っ赤に腫らす。心臓が止まりそうだ。体が震える。

「えええ!」

「イヤ」

見つかってしまった。

「おい、みんな来てみろよ」

「何だよ、デッケー声出して」

「女がいる」

「女?」

皆が集まって来た。ふみは胸と股を隠して立ち上がった。

「おおお、スッポンポン!」

「違うんです、待ってください」

しかもとびきりにかわいい美少女。男たちは瞬時にハイエナに豹変すると、全裸のふみに歩み寄る。

「待ってください、お願いですから待ってください」

裸の彼女は、10人の男たちに囲まれてしまった。足がすくみ、膝の震えが止まらない。

「彼女、何でスッポンポンなの?」

「お願いです、見逃してください」

「かわゆい」

「あの浴衣はおまえの?」

「・・・・・・はい」ふみは真っ赤な顔で唇を噛んだ。

「いい体してるじゃん、女の子」

ふみは震える声で哀願した。

「お願いします、どうか、許してください」

「怖い?」

「凄く怖い、やめて」

「心配すんな、変なことするから」

「ガハハハハハ!」

「・・・許して」

美しき獲物をわざと逃すハイエナの群れはいない。

「どうするこの子?」

「やっちゃう?」

「やっちゃおうか」

ふみは怖くて泣いた。

「やめて、やめてください」

「犯せ!」

「きゃあああああ!」

一斉に襲いかかる。裸のふみは、あっという間にソファに押し倒され、手足を押さえつけられた。すぐには触らずに彼女の美しい裸体を直視する。

「やめて、許して」

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