《MUMEI》
6
その時、「ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」とずっとクラクションを鳴らしっ放しにする車が遠くに見える。

「何だ?」

「うるせえ!」

「テメーやめろ! ぶっ殺すぞこらあ!」

しかしその車はクラクションを押しっ放しだ。男たちが怒りの表情で車に歩み寄る。ところが、パトカーのサイレンが聞こえてきた。

「ヤベ」

「あんにゃろう、警察に通報しやがった」

「女さらってくか」

この美少女は捨てがたい。しかしパトカーが数台砂浜に入ってきた。

「間に合わねえ、逃げろ」

男たちは急いで車に乗り込むと、逃走した。パトカーが車を追いかける。クラクションを鳴らした男は車を走らせ、ふみの近くで止めると、車から飛び出した。

「ふみ!」

「え?」

名前を呼ばれ、裸で大の字の彼女は、薄目で男性を見た。

「耕史さん・・・」

「今、助けてあげるからな」

耕史はふみの手足をほどいた。ふみは号泣しながら抱きついた。

「怖かったあ、もうダメかと思ったあ!」

「ダメじゃないさ」

耕史がやさしく抱き締める。旅館を目指して車を飛ばしてきた耕史。すれ違う車のボンネットに全裸の女性が大の字拘束されているのを見て、すぐにふみだとわかった。彼はUターンして慌てて追いかけて来たのだ。

女性警察官が声をかけた。

「あなたは?」

「通報したものです。彼女の・・・友達です」

「友達?」

すると、ふみが言った。

「恋人です」

「え?」耕史は驚いた。

とにかく全裸のままでは良くない。周囲を見ても服が見えない。ふみは警察が用意した毛布にくるまれ、救急車に乗せられた。耕史も一緒に乗り込む。

危機一髪だった。30回も輪姦されたら人生が終わっていた。誰も助けなかったら、やるつもりだったのだろうか。本当に人間とは、どこまでも悪魔になれるものだ。

車のボンネットに大の字拘束で晒し者の刑。普通のまじめな女性であれば、確実に精神が崩壊してしまう蛮行だが、免疫力のあるふみは、気持ちを確かに持っていた。神聖Mならではの防衛本能だ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫