《MUMEI》
14
仰け反るふみに構わず、興奮に任せて腰を激しく動かし、突きまくる。谷藤は完全に興奮状態で、すぐに下半身が熱くなる。ふみにもそれが伝わり、彼女は泣きたくなってきた。

「ん、ん、ん、ん、ん・・・」

手足を縛られたまま、恋人でも何でもない男に犯される。そういう妄想は何度もしたが、実現してしまうとは。ふみは観念したように両目を閉じたままだ。

「ん、ん、ん、ん、ん・・・」

谷藤の息遣いが荒い。腰の動きがさらに早くなる。ゴンゴンゴンゴンゴンと突かれて、ふみは顔をしかめた。ついにナマで中に出されてしまった。

「んんん・・・んんん・・・」

思いを遂げた谷藤は満足だった。

「おまえがいけないんだからな。恨みっこなしだぞ」

「んんん・・・」

谷藤は、また拳を握ると、ふみのおなかに押し当てて脅す。

「んんん?」

目を見開いて慌てた顔のふみがそそる。谷藤は言った。

「これ、レイプか?」

「んんん」首を左右に振るしかなかった。

「同意のもとのセックスだよな?」

「んんん」ふみは二度三度と頷いた。

犯されたのは仕方ない。手足を縛られて無抵抗の状態では、突っ込まれたらもう防ぎようがない。あとは口封じのために殺されないことだ。

谷藤は、ふみのおなかや胸を触りまくると、立ち上がり、服を着た。ふみはほどかれるのを待った。

「・・・・・・」

谷藤は服を着て、手荷物を持つ。ふみは友好的な表情で谷藤を見つめる。ほどいてくださいと目で訴える。しかし谷藤は彼女のおなかに手を置くと、「じゃあな」と言って背を向けた。

「んんんんん!」

(待って!)

ふみは身じろぎした。一人暮らしなのだ。全裸で手足を拘束されたまま置き去りにされたら、ずっとこのままだ。それは絶対に困る。

「んんん! んんん!」

(待って、待って!)

谷藤はドアを開けて行ってしまった。酷い。あまりにも酷過ぎる。

(どうしよう?)

ベッドに拘束された状態では、どうすることもできない。電話もできないし、助けを求めることも無理だ。

「んんんんん!」

精一杯声を出してみる。

「んんんんんんんんんん!」

(耕史さん、助けて)

全く連絡が取れないと、心配して部屋に来てくれるだろうか。友達が少ないふみにとって、唯一可能性があるのは、耕史だった。

ふみの電話が鳴る。耕史だろうか。電話が切れた。彼女は手足に力を入れてみた。ダメだ。キッチリ縛られていて、自力ではほどけない。

猿轡も外そうと試みたが、無理だった。

どんなつもりで水着姿で玄関先に出たのか。そう男に聞かれた時、変な態度を取らずに、普通に受け答えすれば良かった。いや、タラレバを言うなら、始めから私服で出れば、こんなことにはならなかった。

今さら後悔しても遅い。大切な乙女の純情を無惨にも奪われ、全裸のまま置き去りという酷い仕打ちを受けた。水着姿のまま玄関に出たら挑発と取られてしまうか。ドキドキしたかっただけなのに。

しばらくすると、チャイムが鳴った。

「ん?」

もう一度チャイム。誰でもいいからドアを開けてほしい。ふみは望みをかけた。ドアが開いた。

「ふみ、いるの?」

耕史の声だ。ふみは思いきり声を出した。

「んんんんんんんんんん!」

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