《MUMEI》
ゲームノハジマリ
世の中不公平だと…そう嘆いた時だった。………私が死んだのは。
~数日前~
「澪!なにボーッとしてんのよ?」
この子は橘 弥生(タチバナ ヤヨイ)、小さいときからずっと仲が良い親友。
「あ、うん…ごめん、なんの話だっけ?」
そしてこれが私、荻篠 澪(オギシノ ミオ)。この日は普通にファミレスで弥生と話していた。そして確か弥生が急にネットで話題の『シニガミ・ゲーム』の話を持ち出したんだ。
「ねぇ澪、シニガミ・ゲームって知ってる?」
「え?なにそれ?なんかのアプリ?」
「違うよ!何でも、死んだ人の中から“シニガミ”を決めるゲームで…シニガミに選ばれると生まれ変わるときになにか一つ好きなものを与えられるんだって〜」
弥生が目を輝かせながら語っているところを見て私はまたボーッとし始めたんだ。
「(シニガミかぁ…でも、シニガミを決めるってどう決めるんだろ?なにかゲームでもするのかな?でもそれってゲームが上手い人が勝つに決まってる。そんなの不公平だなぁ…)」
「それでね…って澪?聞いてる?」
私は弥生の呼び掛けでハッと我に帰った。最近、急にボーッとすることがある。
「あ、あぁ…ごめんごめん、聞いてるよ」
そしてまた弥生が喋りだした瞬間だった。観光バスが私“に”向かって来ているのに気がつき、死を受け入れたのは…。

もの凄い爆発音と共に私は死んだ。覚えているのはその時の記憶とバスの行き先表示板に書いてあった『シニガミ・ゲームにご参加ありがとう!』の文字だけだった。

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