《MUMEI》
6
ダメだ。どうにもならない。手足を縛られて無抵抗では仕方ない。ゆりは観念して、罠とも知らずに思いきり乱れてしまった。

「あああああ! あああああ! き・・・気持ちいい・・・気持ちいい!」

ゆりは陥落した。イカされてしまった。夫が大嫌いだという男に、まんまと屈服してしまった。

「はあ、はあ、はあ・・・」

千葉はベッドから離れると何やらガサゴソと動かしている。ゆりはしばらく息を乱していたが、千葉が何も言わないので不審に思い、顔を上げた。

千葉は人の家のテレビを勝手に見ている。しかしよく見ると、裸の女が手足を拘束されている動画だ。ゆりは顔面蒼白になり、心臓が止まるかと思ったほど衝撃を受けた。裸の女は、自分ではないか。

「ゆり。おまえがアンアン乱れるところを全部撮ったぞ」

いつの間に盗撮をしていたのか。

「さあて、この動画を旦那の会社にバラまこう」

彼女は震える声で哀願した。

「千葉さん、それだけはやめて、あたし、そんなことされたらおしまいです」

「ゆりが終わろうが離婚しようが、俺には関係ないことだ」

千葉はDVDを取り出すと、ポケットにしまい、ゆりのおなかをポンと叩いた。

「じゃあな」

「待ってください!」

待ってくれた。

「まだ何か用か? もっと触ってほしいか」

「お願いです。それは返してください」

「返さないよ。レイプされても手足縛られて抵抗できなかったという言い訳は成り立つじゃん。でも、旦那が大嫌いな男に愛撫されているのに、あのアヘ顔はまずいだろう?」

どんな顔をしていただろうか。しかし、乱れてしまったのは確かだし、「気持ちいい」なんて叫んでしまった。弁解の余地はない。

「千葉さん。あたしの身の破滅がお望みなんですか?」

ゆりの泣き顔を見ると、僅かな良心が疼く。

「俺だったら許すな。ゆりは悪くない。こんなことで離婚するような薄情な旦那なら、俺がお嫁にもらってあげるぜ、ハハハハハ」

ネットにバラまかれるよりも、夫の会社にバラまかれるほうが、はるかにダメージは大きい。何としても止めないといけない。

「お願い、ほどいて」

「旦那にほどいてもらいな」

「こんな格好を見られたら・・・」

「千葉さんに抱かれたって言えばいいじゃん。凄く気持ち良くてイッちゃいました、ごめんなさいって」

ゆりは耐えた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫