《MUMEI》
10
浴衣姿のゆりを見て、川平は感動した。透明感のある美人とでも表現できようか。スリムでセクシー。本当に魅力的な女性だ。

「あの、コースはどうしますか。どんなマッサージが御希望ですか?」

「そうですね。とりあえず指圧で」

「わかりました」

ゆりは布団にうつ伏せに寝て、枕を抱いた。川平は腰をゆっくり指圧する。部屋で二人きりは緊張する。まさか変なことはしないだろうが、マッサージというのは、彼氏でも夫でもない男性を、全面的に信頼して身を任せる行為。そこにエロティックな要素が入り込む余地は十分にあるのだ。

「川平さん」

「はい」

「どんなコースがオススメですか?」

「そうですね」川平は指圧しながら答えた。「全身ローションマッサージなんか凄く気持ちいいですよ」

「ローションマッサージ?」ゆりは囁くように話す。「それは、どんな格好で受けるの? 浴衣じゃないでしょ」

「まあ、水着の場合もあるし、バスタオル一枚の場合もあるけど、本当は全裸がいちばん効果ありますよ」

「全裸?」ゆりはドキッとした。

「はい」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫