《MUMEI》
12
川平は慎重に話を進める。

「ゆりさんは、寝る時はどんな格好で?」

「浴衣ですよ」

「いえ、旅館じゃなくて、普段自分の部屋では」

「そんなこと聞いてどうするの?」

笑顔のゆり。嫌がっている様子はない。

「決して嫌らしい意味で聞いているわけではないですよ」

「ヤらしい意味でしょ。男の人がそういうこと聞くのは」

「いやいや」

笑って誤魔化す川平に、ゆりは色っぽい声で答えた。

「あたし、夏は、いつも全裸で寝ますよ」

「嘘」

「嘘ってことないでしょう」

二人は短く笑う。

「そういう女性好きです」

「え、何で?」

「だって、セクシーじゃないですか」

ゆりは唇を強く結び、少し考えると、言った。

「いいですよ、ローションマッサージ」

「嘘・・・本当ですか?」

「ええ」

川平は胸の鼓動が高鳴って困った。

「どんな格好で?」

「全裸があなたの希望なんでしょ?」

この挑発的な笑顔と言葉に、川平の理性は万里の果てまで飛んでいった。

「では、どうします。ご自分で脱ぎます?」

「恥ずかしい!」

ゆりは赤面すると、自分で帯を解いた。川平は布団にバスタオルを敷くと、ローションを準備する。ゆりは浴衣を脱いで全裸になると、うつ伏せに寝た。

「恥ずかしい!」

うつ伏せだから胸と股は隠せるが、お尻が丸見えだ。

「ゆりさん」

「はい」

「触っちゃいけないところはあります?」

ゆりは甘い顔でうっとりしていた。

「いいですよ、全身マッサージなんでしょ」

「え、じゃあ、胸も」

「ええ」

「股も?」

「・・・ええ」そう答えて、ゆりは胸のドキドキが激しくなる。

「お尻も?」

「任せます」

任せます。この一言に、川平は野獣に変身しそうだったが、何とか耐えた。あくまでもマッサージだ。誰も犯していいとは言っていない。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫