《MUMEI》
13
「では、始めます」

川平はローションをつけずに、背中を触れるか触れないかのソフトタッチで、両手を回転させていく。

「んんん」

そのまま両手は下がっていき、腰、そして両脚をマッサージする。

「んんん」

「気持ちいいですか?」

「気持ちいい・・・」

今度はローションをお尻に吹きかけ、両手でお尻をマッサージする。彼氏でもない男性にお尻を触られる。これは非日常の出来事だ。

「んんん、んんん・・・あん!」

不意打ちに弱点を刺激され、ゆりは思いきり変な声を出してしまった。彼女は両手で自分の口を押さえ、目を丸くしている。

「今のは違いますよ」ゆりは弁解した。

「何がですか?」

「まじめなマッサージですからね。変なところ触ったらダメよ」

しかし、川平は容赦なくゆりの弱点を責める。これは気持ちいい。お尻と股を同時に責められ、ゆりは枕を強く抱き、腰を浮かした。

(意地悪・・・。まあいいや、ちょっと楽しんじゃおうかな)

明らかに性感マッサージだ。睨もうかと思ったが、この快感は捨てがたい。ゆりは身を任せた。

「んんん・・・」

「気持ちいい?」

「凄く気持ちいい。上手ですね」

「ホント?」

これはたまらない。ここまでお尻を責められた経験がないゆりは、甘い吐息を吐いた。

「はあああ・・・」

川平は調子に乗った。たっぷりお尻をかわいがると、「仰向けになって」と言った。ゆりは両腕で胸を隠しながらゴロンと仰向けになり、膝を曲げて股を隠す。

「さあ、両手は枕もとに上げて」

「ヤダ、恥ずかしい」

笑みを浮かべるゆりに、川平は笑顔で脅し文句を吐く。

「言うこと聞かないと手足を縛るよ」

「ええ、無抵抗でマッサージは怖いでしょう。意地悪されたらアウトだもん」

これほどノリのいい女性客は初めてだ。川平は感動した。彼は、ゆりの職業を知らない。

「じゃあ、両腕は枕もとに上げて」

「恥ずかしい」

ゆりは観念して両腕を枕もとに上げた。豊かな胸が露わになる。彼女の顔は真っ赤だ。川平は、両脚をつかむと、肩幅に広げた。全裸を見られ、ゆりは横を向き、唇を噛んだ。

「恥ずかしい」

「いやあ、美しい。本当に魅力的なボディですね」

「よく言うよ」ゆりは照れた。「みんなに同じこと言ってるんでしょ」

「そんなことないよ。君は本当に美しいよ」

「お世辞でも嬉しい」

「お世辞じゃないよ」

女にとって、裸を見られるのは恥ずかしいが、体を褒められるのは凄く嬉しい。そもそも裸を褒められる機会というのは、そうない。なぜならば、裸を見せる場面が普通に考えてないからだ。

ローションマッサージと見せて実はセクハラマッサージ。普通なら違法だが、ゆりは旅の恥はかき捨てという故事・・・いや、故事かどうかは知らないが、川平に身を任せて官能的な空間を楽しんだ。

「あああ・・・」

全身にローションを噴射され、左右の乳首やおなか、そして股もマッサージされてしまう。

「あああああ」

悩ましい表情で身じろぎするゆりがかわいい。川平も夢の中だ。

「ゆり」

「何?」

「ここはマッサージされたら困るって箇所があったら教えて。そこはよけてあげるから」

ゆりは笑みを浮かべると、小声で答えた。

「クリはダメよ」

「クリってココのこと?」

「あああん!」

ゆりが腰を浮かす。川平はクリトリスを弾きまくり、ゆりを困らせた。

(嘘、気持ちいい・・・)

マッサージする前から興奮していたゆりは、一気に昇天寸前に昇りつめ、慌てた。

(どうしよう、彼氏でもない男の人に落とされるわけにはいかないし)

やはりプロだ。的確に弱点を責めてくる。このままではイカされてしまう。ゆりは笑顔になると、川平の手首をつかんだ。

「あ、ダメだよ、邪魔しちゃあ」と川平は攻撃をやめない。

「やめてやめて、降参、やめて」

ゆりのかわいい仕草に、川平は完全に狼男に豹変した。

「やめないよ」

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