《MUMEI》
20
「これで全員の自己紹介が終わったか?」代野は逸る。「じゃあ、女には一人ずつサイコロを振ってもらうぜ」

代野がサイコロを出した。女たちは緊張の面持ちでサイコロを見る。いったい何をする気なのか。

「じゃあ、ゆりから行こうか」

(呼び捨てかよ)

ムッとするゆりに、代野がサイコロを渡した。

「これを投げてどうするんですか?」

「知らないからゲームは面白いんだ」

従うしかない。逆らえば素っ裸で拷問が待っている。ゆりはサイコロを畳の上に転がした。

「4」

すると、三井寺が「4」と書かれたメモ用紙を渡す。ゆりは唇を結ぶと、黙って受け取った。

「さあ、どんどん行こう。時間稼ぎの疑いがある者はスッポンポンだぞ」

代野の言葉に、女性従業員は皆素早く立ち上がり、順番に並んだ。皆それぞれサイコロを振り、三井寺から数字の書かれたメモ用紙を渡された。カードではなく、手書きのメモ用紙というところがアナログだ。

愛梨は1。由恵は2。綾香は3。海苛が3を出すと、だぶっているので振り直し。そして海苛は5になった。残るは6しかない。すずは自動的に6のメモ用紙を渡された。

今度は、代野が満面笑顔でホワイトボードに何かを書く。

「へへへ」

下着。水着。彼シャツ。バスタオル一枚。裸エプロン。全裸。6種類のコスチューム。ゆりは何をするかがわかって蒼白になった。彼女たちも、おなかに手を当てたり、腰が引けたりして唇を噛む。

「さあ、今度は俺がサイコロを振り、おまえらのコスチュームを決めるぞ」

「待ってください」ゆりが言った。

「何かな?」三井寺が笑顔で聞く。

「全裸は、コスプレじゃないですよね?」

「ハハハ。まさにこれを引いたらジョーカーだね。自分が全裸に当たらないように祈りなさい」

自分だけの問題ではない。羞恥に震え上がる彼女たちを見て、ゆりは勇気を出した。

「いい子にしていれば何もしないというのは嘘だったんですか?」

「まあ、待ちなさい」三井寺は怒らずにゆりを制した。「まずはゲームを続けよう」

ゆりは仕方なく一歩下がった。男三人は、彼女たちを体を張って助ける気はないのか。部屋の隅に立って、ただ見ているだけだ。

もちろん責めることはできない。女に甘い犯人でも、男にはきついかもしれないのだ。ゆりは唇を噛んで事態を見守った。

代野が面白がってサイコロを振る。

「まずは、下着姿になってもらうのは、何番の子かな?」

3が出た。綾香だ。

「えええ」綾香は早くも泣き顔だ。「イヤですよ」

「じゃあ、スッポンポンか?」代野が聞く。

「待ってください」

全裸と下着姿の二択では、下着姿を選ぶしかない。しかし嫁入り前の娘には酷だ。水着ならともかく、下着姿など他人に見せるものではない。

綾香は、代野からピンクの下着を仕方なく受け取った。赤面する綾香に、三井寺が言う。

「生着替えを披露させるような意地悪まではしない。隣の部屋で着替えてきなさい。もちろん警察に通報したかったら構わないよ」

「そんなことしません」綾香は早口に即答すると、下着を持って隣の部屋に行った。

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