《MUMEI》
22
すずが赤面しながらボタンを外すと、ブラジャーが見えた。代野は大袈裟に驚く。

「すず、さっき彼シャツを理解していると頷いたな?」

「理解?」すずは焦った。

「風呂上りに彼氏のワイシャツを着るセクシースタイルを、彼シャツというんだ。だから男のロマンなんじゃねえか。下着を着ているとはどういうことだ?」

「え、着ますよ普通」

すずが反論すると、代野は喜んだ。

「お、刃向かったな」

「刃向かってません」すずは慌てた。「わかりました、下着は取りますから」

「遅い。もうアウトだ。さあ、スッポンポンになってもらうぞ」

すずが蒼白になる。代野は危ない笑顔で歩み寄る。ゆりは男三人を見た。誰も止めに入る気配はない。すずは泣き顔で両手を出した。

「ちょっと待ってください、待ってください!」

「甘いぞ。19歳だからって容赦しないと警告したはずだぞ」

「待ってください」ゆりがすずの前に立った。

「何だテメー?」

「彼女は下着を取ると言っているんですから。それに、彼シャツは、下はさすがに脱ぎませんよ」

代野はゆりを怖い顔で睨む。ゆりは睨まないように、しかし真顔で代野を見つめた。

「おまえ、いい度胸してるじゃねえか。気に入った」

代野は背を向けて元の位置へ行く。許してくれたということか。ゆりは、すずを小声で励ました。

「大丈夫だから。ブラだけ外してきな」

「はい、ありがとうございます」

すずがブラジャーを取って部屋に戻ってくると、代野はサイコロを振る。

「さあ、次はバスタオル一枚だ。まさにチラリズムの真骨頂だ」

5が出た。海苛だ。彼女も唇を噛んで恥ずかしかったが、全裸よりマシなのは間違いない。ただ、バスタオル一枚は、簡単に裸にされてしまうので怖い。

海苛は胸をドキドキさせながら部屋に戻ってきた。代野は海苛のバスタオル一枚の姿を直視し、興奮した。

「海苛。かわいいじゃねえか!」

「・・・・・・」

「俺に褒められても嬉しくないか?」

「そんなことありません」海苛は慌てて即答した。

残るは二人。愛梨とゆりだ。二人のどちらかが全裸になる。ゆりと愛梨は胸のドキドキが止まらない。

「さあ、行くぜ。ジョーカーがどっちか、一発で決まるな」

裸エプロンを選ぶサイコロ。しかしこれは自動的に全裸も決まってしまう。緊張の一瞬だ。

1が出た。愛梨が裸エプロンだ。裸エプロンも恥ずかしいが、彼女は心配顔でゆりを見た。

「さあ、愛梨。着替えてきな」

「え、でも・・・」

すずを体を張って助けてくれた女性客のゆりを、愛梨は庇いたい気持ちでいる。従業員として、お客様に赤っ恥をかかせていいものか。

「あの」

「何だ愛梨」代野が笑顔で睨む。

「全裸は許していただけませんか?」

思いがけない言葉に、ゆりは驚いて愛梨を見る。しかし代野は悪魔の笑顔で迫る。

「じゃあ、愛梨がスッポンポンを選ぶか?」

「それは、違うんですけど・・・」

「だったら言う権利はねえな」

「そんな」

ゆりは、愛梨の肩を触った。

「大丈夫。行って」

「でも」

「いいから」

愛梨は仕方なく代野からエプロンを受け取り、隣の部屋に行った。さすがに自分が身代わりになって全裸になる度胸はない。

「大丈夫かな、ゆりさん」

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