《MUMEI》
4
「さあ、クイズを続けるぞ。第3問。解答者は?」

サイコロを振る。5だ。バスタオル一枚の海苛が、顔を紅潮させて前に出た。

「問題。佐倉巡査が電車内で集団痴漢に遭い、最後は真っ裸にされて吊るされ、晒し者の刑にされてしまったコミックのタイトルは?」

海苛は首をかしげた。

「わかりません」

「ブー! みんな勉強不足だな。毎日何を勉強してるんだ、ガッハッハッハ!」

海苛はバスタオルの結び目がほどけないように気をつけながらサイコロを振る。3が出た。

「ハハハ、海苛、おめでとう。3は電マ拷問だ」

「でんま?」

「何、電マも知らないのか? いかんなあ。学びが足りないぞ」

代野は一人で嬉しそうだ。

「電マ拷問となると、やはりマッサージ師の川平しかいねえな」

指名されると、川平が前に来る。代野は箱から電マを二本出し、川平に渡した。

「ルールは簡単だ。海苛をイカしたら、川平の勝ち。イカせなかったら、川平の負け。川平がわざと負けたと見なし、罰ゲームだ。男の罰ゲームはきついぞ」

電マが何だかわからない海苛は、イカすという言葉もピンと来なかった。まさかエクスタシーのこととは夢にも思わない。

「さあ、例のアレを運んで来い」

代野が命令すると、古関料理長と支配人の倉橋は、隣の部屋から大きなブルーのマットを運んできた。キングサイズのベッドくらいの大きさだ。それを部屋の中央に置く。四隅にはベルトがついている。

「よし、海苛。そこに寝ろ」

「ヤです」海苛は代野を睨んだ。

「縛れ」

そう言うと、何と男性スタッフ三人は、海苛を押し倒した。

「キャア!」

川平が中心になり、素早く海苛を大の字にして、両手両足をベルトで拘束する。バスタオル一枚で無抵抗にされ、海苛は激しくもがいた。

「何をする、裏切り者! 男でしょ、恥を知りなさいよ!」

「海苛」代野が脅す。「言葉が過ぎたな。罰としてバスタオルを取るぞ」

代野がバスタオルをつかむ。

「待って、わかったから、待って、待ってください、待ってください!」

待ってくれた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

「じゃあ、罰ゲームを受けるか?」

「あたしをどうする気ですか?」

「何だ、まだ自分が絶体絶命の大ピンチだということに気づいていないみたいだな」

代野は川平から電マを一本奪うと、スイッチを入れて海苛の膝に当てた。強烈な振動に海苛は驚く。

「きゃあああ!」

すぐに離すと、言った。

「わかるか。これで股を責められたら乙女のピンチだろ?」

ようやく意味がわかり、海苛は震える声で哀願した。

「ヤダ、そんなことやめて」

「だから罰ゲームなんだ。ハハハハハ!」

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