《MUMEI》
6
「では第4問の解答者は」サイコロを振る。1が出た。「愛梨!」

ピンクのパジャマ姿の愛梨が前に出た。緊張する。先ほどから全くわからない問題ばかりだ。

「愛梨。俺はパジャマニアなんだ。パジャマの女をいたぶるのは嬉しいぜ」

怖いことを平気で言う男だ。愛梨は蒼白になり、おなかに手を当てた。

「では、問題。うろつき童子の主人公の名前は?」

「え?」

うろつき、どうじ・・・? 聞いたことがない。愛梨は焦った。かといって答えないと罰ゲームだ。

「あ、えっと、うろ・・・うろつきどうじ?」

「ブー!」代野は満面笑顔だ。「あてずっぽで当たるほど甘くないぜ」

愛梨は唇を噛んだ。どんな罰ゲームが待っているのか。胸のドキドキが止まらない。

「さあ、運命は自分で選びな」

代野がサイコロを渡す。逆らえば全裸だ。彼女は仕方なくサイコロを振った。6が出た。

「6番は、ストマック・クローだ」

「すとまっく?」

愛梨は首をかしげている。意味がわかったゆりは緊張の面持ちだ。

「さあ、愛梨。仰向けに寝ろ」

「え?」愛梨が躊躇する。

「どうした。それともスッポンポンを披露したくなったか?」

愛梨は慌てて仰向けに寝た。代野が自らやるようだ。愛梨は胸のドキドキが激しさを増す。代野は愛梨のパジャマをめくった。セクシーな美ボディが見える。

「待ってください」

「何だ愛梨?」

「すとまっくって何ですか?」

「食らってからのお楽しみだ。ストマックじゃなくて、ストマック・クローだ、ハハハ」

代野は愛梨の両腕を彼女の頭のほうに上げさせた。この無防備な体勢は女の子にとって怖い。

「さあ、行くぞ」代野は自分の右手首を左手でつかむと、右手を高々と上げて叫ぶ。「ストマック・クロー!」

その右手が振り下ろされ、愛梨のおなかを直撃! 何と胃袋つかみだ。

「うぐぐぐぐっぐぐ・・・」

愛梨は目を丸くすると、両脚をバタバタ、バタバタさせて苦悶の表情。

「んんん! んんん!」

たちまち両目から涙を溢れさせ、首を左右に振り続ける。

「んんん! んんん!」

頬を膨らませ、泣き顔で悶え苦しむ愛梨を見て、代野は満足の笑みを浮かべた。

「んんん!」

「降参か?」

「んんん! んんん!」

泣き顔で何度も何度も頷く愛梨がかわいい。代野は技を解いた。

「ううううう・・・」

愛梨も泣いた。両手でおなかを押さえて横になると、声を上げて泣いた。

(何て酷いことを・・・)

ゆりをはじめ、ほかの人質の女たちも、顔を曇らせた。

由恵と綾香が愛梨を抱き起こし、一緒に下がった。

「あれ、盛り上がると思ったらシーンと静まり返ったか。俺を悪者にしたいらしいな」

代野が皆を睨み回す。

「これは面白くねえな。こんな簡単なクイズに答えられないほうが悪いだろ」

皆ムッとした顔で俯いている。

「頭来たので全員スッポンポンだな」

「え?」

女たちは焦った顔で代野を見た。ゆりは機転を利かせて言った。

「クイズを続けてください」

「ほう。またおめえか。そういえばゆりはまだクイズに答えていなかったな。よし、続行しよう」

ゆりは倉橋支配人を見た。無表情で突っ立っている。感情が読めない。大切な女性従業員が辱められているのに、どう思っているのだろうか。古関料理長はずっと暗い顔で俯いている。責任を感じているようにも見える。

確かに暴力で脅されたら怖い。男性の場合は女性と違い、本当に殺されてしまうかもしれない。だから責めることはできないのだが。許せないのはマッサージ師の川平だ。完全に裏切ったと見るべきだ。

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