《MUMEI》
7
「ゆりさん」三井寺が声をかける。

「え?」

「また得意の独白かな」

「・・・いえ、別に」

ゆりは赤面した。代野は一人で明るい。

「さあ、第5問だ。解答者は残り二人。すずとゆりか。どっちが最初に泣くかな?」

サイコロを振る。4が出た。

「ゆりー、待ってましたあ!」

ゆりは唇を強く結ぶと、前に出た。浴衣の下は何も身につけていないから、乱暴なプロレス技は困る。

「では問題。うろつき童子の主人公の妹の名前は?」

「・・・・・・」ゆりは躊躇したが、答えた。「天野、恵」

「何?」

代野と三井寺は目を見開いて驚いた。三井寺文世は怪しい笑顔になると、聞いた。

「ゆりさん、答えを知っていたのか?」

「・・・ええ」

「ほう。君はそういう作品を見るのか?」

皆から大注目だ。ゆりは赤面した。

「たまたま、ネットで知って」

「たまたま知るのはおかしいだろう」代野も感動している。「こういう作品好きなのか?」

「別に」

三井寺は、さらに聞いた。

「では、今までの問題も解けるかな」

「・・・・・・」

「よし」代野が読み上げる。「羽衣美人姉妹の亜衣と麻衣がヒロインのアニメのタイトルは?」

答えないと罰ゲームという卑怯なことをするかもしれない。そう思い、ゆりは答えた。

「淫獣聖戦ツインエンジェル」

三井寺と代野は顔を見合わせた。代野が続ける。

「ヒロインのヨーコがスライムに襲われてスッポンポンにされてしまうアニメ作品のタイトルは?」

「・・・バスタード」

これは本物だ。偶然ではない。二人は歓喜の笑顔。

「佐倉巡査が電車内で集団痴漢に遭い、素っ裸にされて最後は吊るされて晒し者にされてしまうコミックのタイトルは?」

「刑事ペルソナ」

「うろつき童子の主人公の名前は?」

「天邪鬼」

「参ったな」代野は大喜びだ。「今からゆりは、俺たちと一緒に犯人グループに転向しないか? ガッハッハッハ!」

ゆりは真っ赤な顔で俯いた。

「5問全問正解か」三井寺は言う。「一人でも全部答えられた女の子がいたということは、誰にも答えられないインチキクイズではなかったという証明がされたね」

「あっ」

ゆりは焦った。しまったと思った。でも、もう遅い。怖くて皆の顔が見れない。

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