《MUMEI》
3
『料理長。眠り薬を入れませんか? 眠り薬? 声が大きいですよ』

ここでスイッチを切る。愛梨は全身が震えた。万事休すか。

「説明しなさい」

愛梨は両目を真っ赤に腫らすと、泣いた。

「ごめんなさい、許してください」

「これは許せないね」

ゆりも両手をつく。

「あたしからもお願いします。どうか、許していただけないでしょうか?」

「また君か。でも今度ばかりは無理だね。これで許してしまったら、何でもアリになってしまう」

代野通が嬉しそうに立ち上がる。

「さあて、スッポンポンになってもらうぞ」

「ヤです!」愛梨はまた古関を見た。

古関はただ無言で俯いているだけだ。体を張って助けてくれると言ったのは嘘だったのか。

「仕方ない」三井寺が真顔で言った。「じゃあ、これは連帯責任だ。六人全員全裸になってもらおう」

「そんな」愛梨は焦った。

ほかの女たちも複雑な表情をした。愛梨を助けたい。しかし全裸は絶対に嫌だ。その微妙な空気を察してか、愛梨は観念した。

「・・・わかりました」

彼女はゆっくり立ち上がると、パジャマの下を脱ぐ。見事な美脚が披露される。代野は目をギラギラさせた。

「ぬーげ、ぬーげ」

ブラジャーはしていないから、上を脱ぐのを躊躇した。

「お、俺に荒々しく脱がされたいのか?」

「やめてください」

ムッとすると、愛梨は上も脱ぎ、両腕で胸を隠した。ショーツ一枚で赤面する愛梨がかわいい。

「よし、マットを運んで来い」

「はい」

倉橋支配人と川平は、ためらうことなく隣の部屋からマットを運んできた。ゆりは呆れた。

(何考えてるの?)

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫