《MUMEI》
13
ゆりは唇を甘く噛む。

「一か八かの賭けよ。負けちゃったら、潔く諦めるわ」

これほど官能的なロマンを体感させてくれる女に出会ったことはない。綾香ではこうはいかなかっただろう。ギャーギャー泣きわめく女を犯すよりは、はるかにエキサイティングだ。

「よし、いいぜ。乗った」

「その代わり、あたしを落とすことができなかったら、諦めてください」

「でもよう。イキそうになったら、手でどかすだろうよ」

ゆりは口を真一文字にして代野を見つめると、ゴロンとうつ伏せになり、自ら腰の上に両手首をクロスした。

「何?」代野は焦る。

「いいですよ、縛っても」

代野の興奮も最高潮だ。

「おお、おまえは最高にいい女だ。おまえを選んで良かった」

思わず惚れそうだ。嫁にもらおうか。そんなことを考えながら、代野は、浴衣でゆりの両手首を後ろ手に縛った。これで無抵抗だ。ゆりは胸のドキドキが激しくなる。

代野は彼女を仰向けに寝かせると、無防備なゆりに言った。

「おまえを裏切ってこのまま犯したりしてな、ハハハ」

「通さんは、そんなことする男じゃないって知ってたから」ゆりが挑戦的な目で見る。

「言うじゃねえか。本当に男心をくすぐるなあ。お礼にくすぐってあげる」と、いきなり両脇をくすぐりまくる。

「あああ、待って・・・きゃははははははは、いやはははははは、ダメやめて・・・」

「何だ、おまえもくすぐり苦手なのか、コチョコチョコチョコチョコチョ」

ゆりは真っ赤な笑顔で悶え苦しむ。逃げようとうつ伏せになるが、すぐに両脇や腰や足の裏をくすぐられる。

「あははははは・・・やめて、やははははは・・・許して・・・」

「降参か?」

「・・・降参・・・」

「降参か?」

「きゃははははは・・・降参・・・いやはははははは・・・降参!」

ようやく許してくれた。

「はあ、はあ、はあ・・・」

不意打ちだった。ゆりは色っぽく息を乱す。代野は余計に興奮してしまった。

「ゆりはMだから、やめてってお願いしてるのにしつこく意地悪されると興奮するだろう?」

「くすぐりはやめて、息できないんだから」

しっとりとした囁き声がたまらない。代野は愛撫を始めた。

「ん・・・」

やはり大して上手ではない。これならイカされない自信があった。ゆりはすました顔で、たまに腰や脚を動かし、快感に耐える演技をして時間を稼いだ。

なかなかゆりの反応が鈍く、代野は焦りが出てきた。左右の乳首とクリトリスを責めたら、たいがいの女はアンアン歓喜の声を上げるのに、ゆりは平気そうだ。

(チキショー)

まさか、今までの女は演技だったのか。感じる演技をして何か意味があるのか。自分が結構テクニシャンだと思っていた代野は、自信の部分が揺らいだ。

「ゆり」

「何ですか?」

「気持ちいいか?」

「気持ちいいけど、イキませんよ。イッたら犯されちゃうんだから、あたしだって必死ですよ」

代野は愛撫をやめた。ゆりは心配顔で代野を見る。代野は布団から一旦離れると、何と電マを持ってきた。ゆりは目を丸くして身じろぎする。

「そんなの卑怯ですよ、そんなもの使ったらあなたの反則負けですよ」

「うるせえ」

代野は危ない笑顔でスイッチを入れる。ゆりは目を見開いて電マを見た。普通の電マよりもサイズが小さい。まさかこれは、絶対にイカないと豪語したAV女優をまんまとイカしてしまった噂の電マではないのか。形状が似ている。

「川平からもらったんだ。これは効くらしいな。2分でイッちゃう優れものらしいぜ」

(あの男だけは・・・)

しかし、今は川平を軽蔑している場合ではない。こんな凄い電マで股を責められたら危ない。

「賭けは無効ですよ」

「もちろん有効だ」

代野が股を狙って電マの先端を当てようとする。ゆりは両膝を曲げて股を庇い抵抗する。

「やめて、ちゃんと愛撫であたしをその気にさせなさいよ」

「うるせえ」

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