《MUMEI》
6
「ゆりは違う。ずっと俺と一緒にいたからな」

「この五人も通報していないから名乗らないだけで、ほかの人じゃないんですか?」

代野の目的は女たちを辱めることだ。面倒くさい顔をすると、ゆりを脅した。

「ゆり、あまり調子に乗るなよ。えこひいきにも限界があるぞ」

「えこひいきって何ですか?」ゆりがムッとして睨む。

「お、そういう態度ならいい。川平」

「はい」

「今からゆりを一糸まとわぬ姿にして大の字拘束にするから、あとは川平に任せる」

「本当ですか?」

「待ってください」ゆりは顔を紅潮させた。

「何だゆり?」

「やめてください」

「じゃあ、おとなしくしてるか?」

「・・・はい」

「よーし、じゃあ川平の刑は勘弁してやろう」

「何ですか川平の刑って?」川平が笑う。

ゆりは黙った。悔しい。しかし川平に嬲られるのだけは死んでも嫌だった。

ゆりを黙らせると、代野通は再びサイコロを出した。

「それでは、これから、サイコロ野球拳をやるぞ」

「え?」

女六人は赤面した。浴衣の下はコスチューム。すぐに全裸になってしまう。

「では、1番、愛梨から、サイコロを振れ。勝ち抜き戦だ。サイコロの目の小さいほうが一枚脱ぐ」

川平は目を丸くして見ていた。女同士の野球拳は、どっちが負けてもいいから興奮する。愛梨が躊躇していると、代野は脅した。

「早く振らないと、真っ裸にして逆エビ固めだぞ」

「やめてください」

愛梨は仕方なく振った。6が出た。一瞬喜んだが、相手が一枚脱ぐことになる。どっちに転んでもダメなゲームだ。

「2番は由恵か。振れ」

由恵は口を真一文字にすると、サイコロを振った。5だ。それでも負けだ。

「あああ・・・」

由恵は浴衣の帯をほどいた。

「バカ、帯なんて着物じゃねえ。浴衣全部だ」

「え、野球拳は帯も一枚に入りますよ」

「何、素っ裸でストマック・クローをしてほしい?」

「言ってません」由恵は急いで浴衣を脱ぐ。

「おお、セクシー。白の水着はたまらんな。あと一回負けたら、女の子としてかなりヤバイことになるわけだ」

「水着?」亜季は焦った。「小暮です。応援はまだですか?」

『もう少し待て』

「間に合いません。犯人は人質の女性同士に野球拳をやらせています」

『野球拳?』

「裸にされてしまいます」

『落ち着け』

男の刑事にも、裸にされる重みがわからないか。当然犯人の男にもわからないだろう。

「間に合いません。突入します」

『応援を待て。一人じゃ危険だ!』

確かに一人では危険だ。用心棒がいた。もしも警官が倒されたら、自分も無事では済まない。彼女は躊躇した。

「次は、愛梨だ。振れ」

また6が出た。いたたまれない表情で由恵を見る。由恵も振った。4だ。

「さあ、由恵、どっちを取る?」

由恵は唇を噛むと、観念してブラジャーを取り、胸を隠した。

「さあ、愛梨、仲間にトドメを刺せ、ガッハッハッハ!」

(何てことを・・・)

ゆりは意気消沈した。止めたいが、力で来られたら勝てない。全裸にされ、手足を縛られ、無抵抗の状態で川平に嬲られる。それは絶対に嫌だ。

(どうすればいい?)











 

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