《MUMEI》
7
愛梨が無表情でサイコロを振る。悪くて由恵の顔が見れない。5が出てしまった。愛梨には有利だが由恵にはかなり厳しい。

由恵は両腕で胸を隠しながら、弱気な笑顔で代野に言った。

「野球拳って、女性の場合、ギブアップルールってありませんでしたっけ?」

「何じゃそりゃ?」代野の顔が赤い。酔っ払っている。

「あと1回負けたら全裸になっちゃう場合、ギブアップって言ったらゲームオーバーっていう・・・」

「そんなに真っ裸でキャメルクラッチを食らいたいのか?」

「そんなわけないじゃん」

由恵はムッとすると、胸を隠しながら片手でサイコロを拾った。しかし代野が怖い顔で彼女の腕をつかむ。

「え?」

「何だ今の生意気な態度は?」

「違うんです」由恵は慌てた。「ごめんなさい、今のは違うんです」

「違くないだろ。おまえはもう罰ゲームだ」

「ごめんなさい、代野さん、許してください」

「甘い。スッポンポンでキャメルクラッチ1時間だぞ」

「死ぬほど恥ずかしかったから気が動転してて。許してください」

泣きそうな由恵を見ると、代野は腕を放した。

「俺は気が短いんだぞ。言葉と態度には気をつけろよ」

「すいません」

悔しい。悔しいけど今は我慢だ。由恵は泣くのを堪えた。逆らったところで、本当に全裸にされてキャメルクラッチで痛めつけられたら、そのほうが屈辱的だ。

由恵はサイコロを振った。1が出た。一瞬両目を閉じると、仕方なく後ろを向き、最後の一枚を脱ぎ、正座して胸と下を隠した。

「誰が 正座していいって言った。立って両腕を頭の後ろに組むんだ」

「そんな」

「それとも大の字に寝るほうがいいか?」

「お願いします。恥ずかしくて耐えられません。許してください」由恵は必死に哀願した。

「バカだな由恵。恥ずかしいから罰ゲームなんじゃねえか。負けたらアウトだから必死に頑張るんだろ」

ゆりは勇気を振り絞って手を挙げた。「あの・・・」

「お、ゆり、そんなに川平の刑でスリルを味わいたいか?」

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