《MUMEI》
12
すずが片手でサイコロを振る。5を出した。代野は、3だ。

「チキショー。粘るな美少女」

代野はビールを一気に飲みほすと、脅した。

「ああ、酔っ払った。これ以上粘ったら、すずは回そうかな」

「え?」

「冗談だ」

すずは胸のドキドキが激しくなる。わざと負けたほうが安全だと思えてくる。しかしサイコロで意識して1を出すのは難しい。

3が出た。微妙な数字だ。代野は、1だ。

「テメー、イカサマか?」

「違います!」すずは焦った。

代野は仕方なくビールを飲みほす。すずはすぐにサイコロを拾い、振る。2だ。満面笑顔で代野が振った。まさかの1だ。

「嘘だろ?」

代野が、何も悪くないすずを睨む。彼女は怯えた。しかし、ルールを無視したら面白くない。代野はふらつきながら、ビールを飲んだ。

「さあ、早くしろい」

すずは怖々サイコロを振る。2が出た。今度こそ。代野が振る。6だ!

「ダアアアアア!」

代野は本気で大喜びだ。すずは横を向くと、最後の一枚を脱ぎ、やはり正座して胸と下を隠した。

これでゆり以外は全員素っ裸にされてしまった。

「よくも俺様に苦労させてくれたな」

代野は裸の五人を睨みつける。彼女たちは唇を噛んで神妙な表情だ。

「よって、俺がサイコロを振った数字の女は、俺の目の前で大の字になってもらうぞ」

「そんな」

それは酷い。愛梨も由恵も綾香もすずも、胸をドキドキさせながら俯いていた。海苛は代野を睨みつけている。

「お、何か文句あんのか、海苛?」

「・・・別に」

ゆりや海苛のように、皆の身代わりも辞さない女を大の字にしても面白くない。絶対に嫌だと恥ずかしがる女を大の字にして、その赤面した顔が見たい。邪悪なSの代野と川平は、同じことを考えていた。

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