《MUMEI》
17
「やめて、やめて」海苛は泣き顔で哀願した。「三井寺さん助けて」

しかし、三井寺は無言のままだ。あてにできない。海苛は川平を見つめた。

「川平さんやめて、お願いですから」

「やめないよ。だって俺、海苛のこと大好きだから」

「だったら許して」

「バカだな、好きだからマッサージしたいんだよ」と両手で股を入念に性感マッサージ!

「あああああん!」

「かわいい!」

川平も代野も興奮全開だ。

「やめて、やめて、お願いやめて!」

反抗的な態度を取っていた海苛が、たちまち女の子らしく哀願する。それだけイカされることは屈辱的なのだろう。そうと知ったら絶対にイカしてしまおうと思うのがSというものだ。

川平はとことん海苛の弱点を責めまくって困らせた。

「あああああん! やめて、やめて、やめてえええ!」

真っ赤な泣き顔で腰を浮かし、悶える海苛がかわいい。もう止まらない。とことん意地悪する。

「さあ、どうする、海苛?」

「やめてください、川平さんやめて」

「名前なんか呼んだって許してあげないよ」

「やめて、やめて・・・ああああああああああん! ダメ!」

その時、バッとふすまが開けられた。先ほどの女性警察官を先頭に、大勢の警官隊が立っていた。

「ヤベ」

小暮亜季は、険しい表情で全裸にされた六人の女性を見た。しかも一人は手足を大の字に拘束されている。

「監禁及び婦女暴行の現行犯で逮捕します」

警官隊が一斉に部屋に入ろうとすると、代野通は血相変えてサバイバルナイフを出し、海苛の喉に当てた。

「あああああ!」

「動くな!」

「あ、やめなさい!」亜季は焦った。

海苛は顔面蒼白だ。手足を縛られているから身動きできない。

「イヤ・・・」

「おい、全員出てけ。でないとこの女の命はないぞ!」

「待ちなさい」亜季は必死に声をかけた。「ナイフを下ろしなさい」

「テメー、ふざけろ、俺様に命令する気か。じゃあ、俺の本気度を見せてやる」

そう言うと、代野はナイフを海苛の股に当てた。

「やめて!」

「やめなさい!」亜季は手を出して言った。「それはやめなさい、それは絶対ダメです」

「いやあああ・・・助けて」海苛は泣いた。

「さっさと消え失せろタコ!」代野が凄む。

ゆりは三井寺を見た。三井寺文世はゆっくり立ち上がると、代野に言った。

「やめろ。そんないい子を傷つけてはいけない」

「・・・ボス」

「代野。ナイフを置け」

代野は、サバイバルナイフを畳に置いた。

「確保」

合図と同時に警官が代野に突進し、逮捕した。亜季はすぐに上着を脱ぎ、裸の海苛に掛けると、手足をほどいた。

「大丈夫?」

「・・・はい」

近くにいたゆりに、亜季が小声で聞く。

「犯人は?」

「男全員です」

「男全員確保!」

「あ、僕は人質です」と言う川平を無視して、三井寺と川平と倉橋と古関も連行されていった。

亜季は急いで人質六人に浴衣を着せると、救急車で病院に搬送した。無念だ。女性の人質が全員全裸にされてしまった。間に合わなかった。

かといって、応援が来る前に突入して、もしも自分も人質にされたら。それも頭をよぎった。犯人の数もわからないし、凶器もわからない。亜季も若い女性だ。敵の手に落ち、全裸にされて、酷い拷問をされてしまったかもしれない。

犯人を全員逮捕できて良かったと思うしかない。しかし、これから始まる取調べで、人質が無事であったかどうかがわかる。

男の警官は、人質を一人も殺させず、全員無事に救出すると、ハイタッチしたりしている。亜季はそれを責めたりしないが、唇を噛んだ。誰一人レイプされていなければいいが・・・・・・。

取調べも、自分が先頭切って行うつもりで、彼女は警察署に戻った。

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