《MUMEI》 第一話『ハジマリ』-あぁ、憂鬱だ。まだまだ蒸し暑い8月の下旬に俺、霧崎 灯真(キリサキ トウマ)は高校を退学させられ路地裏で物思いにふけってた。 「はぁ…どうすっかなぁ?土下座でもしにいくか?いや、それは流石に…」 俺がそんな感じにブツブツ言っていると奥から聞こえづらいが怒号が聞こえた。 「おいおい、まさかヤ○ザとかが…ってなわけねーか、ここ人通りいいし…見てみるか」 俺が好奇心で覗きに行くと恐らく進学校兼全寮制男子校というクソ暑苦しそうな高校の制服を着た生徒が三人ほどで何やらカツアゲをしているようだ。 「へぇ…進学校の奴でもそんなことしてんだなぁ…っとやべ、声出ちまった!」 「!?おいそこいんの誰だコラ!」 まあそりゃ気付かれるか。仕方ない、諦めて殴られるか… 「あー、すまんが殴ったりは勘弁してくれよ?俺いてぇの嫌いだからさ〜、ぐおッ!?」 あ、殴った。こいつ殴りやがったな?でも面倒事は俺が一番嫌いなものだからなー。とそんなこと考えてるとそいつらの体の隙間から見えたのは破られた制服とあざのできた体に怯えた顔をしている少女だった。それが見えた瞬間に俺は全員殴り飛ばした。 「てめーら、なにしてんだ?可愛い女の子をよってたかって暴行加えやがって…おい大丈夫か?送ってってやるよ」 俺は優しく少女に手をさしのべた…が少女は俺の手を叩いてスッと立ち上がった。 「いらない、一人で大丈夫。寮すぐそこだし…」 え?“寮”…?俺は耳を疑いききなおした。 「お前…性別は?」 「男だけど」 …あぁ、うん…なんか、 「…すいませんでした…てっきり女だと…」 俺ががっくりした表情で謝るとそいつは無表情のまま 俺にお礼をいった。 「…助けてくれてありがとう、女の子じゃなくてごめんね?じゃあ…ばいばい」 そういって手を振りながら帰っていったあいつの顔は、少し微笑んでいたような気がした。 次へ |
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