《MUMEI》

「え!?れ、蓮華くん!?」



早歩きでレジに向かった
蓮華くんに
追い付いたときには
会計をすでに済ませた
あとだった。



それ、私が気に入った
ものなのに……
なんで蓮華くんが
お金を出すの?




包装も何も
しなくていいと
店員さんに伝えて
値札を切り取って
もらったあと、
それを手にして
私のもとへ
歩いてきた。



ぱちんっと音が
鳴ったと思ったら、
蓮華くんが
ヘアピンを
つけてくれたのだと
気付く。




「……ん。似合うな」


「………っ」




似合う、と言って
ふっと笑った
蓮華くん。


そ、その笑顔は
反則だよ……



なんだか胸が
ドキドキする。


こんなこと今まで
一度もなかった。



「欲しいのあったら言えよ」



そう言って
すたすたと前を歩く
蓮華くんの背中を
視線で追う。



なんだろう。
嫌なドキドキでは
ない気がする。



「次どこ行く?」


「え、ああ……じゃあ次はー……」



慌てて蓮華くんの
隣に行き、
一緒に歩き出す。


変なドキドキが
した気がするけど、
気にしないことにした。

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