《MUMEI》
透明少女と海月詩
透明とは…

光を通し、透き通っている様の事である。

その言葉を私に使うのならば、

存在感が無く、透明。

それが的確なのだろう。

もしくは、無いもの扱いされる人。


私はそれから抜け出したいとは思わない。

それが私だから。

悲劇の少女ってわけではなくて、

その状態から私が出たところで

何かが変わるわけではない。

そして自分のこんな思考を変えたくもない。

これでいた方が気が楽だから。

だけどこの言葉は殆んどの人が

共感する事は無いであろう。

むしろ…

こんな発想をするのは私だけでいい。

そうすれば誰も傷つかないだろうから。

誰も私に気づかないから。

私の存在は海月以上に不可思議で…

誰にも理解しきれない存在。

だけれど私は…

海月で居たい。

それだけは願う。

存在に気づかれたくないのに…

海月のように不透明であり透明らしい

あのような存在になりたい。

何かにぶつかれば死んでしまいそうな

そんな脆いような存在が楽そうだ。

なら、死ねばいい。

なのに、死ねない。

実行力がないのだ。

私は何事にも。

だから私は……

だから…………




心なんて捨ててしまって、

波に揺らめいている海月になりたい。

海月に心があったとしても、

心があるかなんて神のみぞ知る。

海月は…ある意味、神に近い。

誰にも、その存在の全てが分からない。

まさに、何かに溺れた者の最期。

何かに没頭して、その世界に溺れた者の

最期に行き着いた存在なのかもしれない。

誰もそう思わなくても…

私だけは必ずそう信じるであろう。

それは…馬鹿な私だから。

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