《MUMEI》
時よ
遥か昔に捨てた夢を、
時折拾って
眺めることがある。


果てしない絶望に
彩られた空。

忘れようとして
忘れられない緑の大地。

愛していると呟いた
あの人の横顔。


小さな掌に
握りしめたまま、
気がつけば
忘れてしまっていた
赤い風船は、
今広げると僅かに残り、
まるで明日の私のようだ。

失い続けた
日々の終わりに、
もっと
失わなければならない
未来を見つめ、
どうして
生きて行けばいいのか、
私にはもう解らない。


時よ、お前は余りにも早く
時よ、お前は余りにも遅く

若さを失い過去を積み上げ、


時よ、お前は余りにも高く
時よ、お前は余りにも低く

頭上をそして足元を、
ぼんやり気ままに
流れていく。

時よ私が終わった後は、
誰の時を刻むのだろう。

時よ私の終わりの時は、
お前に何をたむけよう。

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