《MUMEI》

その後も色々と
気に入ったものを
見つけては
立ち止まり、
それを無言で
手に取った蓮華くんが
レジに向かう、の
繰り返しだった。



まとめて会計すれば
いいのに、と
言ったら
そしたらお前自分で
払おうとするだろ、
と言われた。


自分の気に入ったもの
なんだから、
自分で買うのが
当たり前なのになぁ。



「なんで払わせてくれないの?」



もうこうなったら
最初から財布を
構えてよう、と
それを片手に
持ってお店の中を
見て回るも、
一向に私の手中にある
お義母さんカードの
出番はない。



「気にすんな」



毎回そう言われて
終わっちゃう。




その後も同じことの
繰り返しで、
お洒落な袋に詰められた
数々の高価なものを
ちらちらと見て、
本当にお金は大丈夫かと
心配になるも、
蓮華くんは無言で
歩くだけだった。



すっかり暗くなった
ころに私達は
お店を出た。



「もう帰っても大丈夫だろ」


「椿さん大丈夫かな……」


「気絶はしてるだろうけど大丈夫だろ」




寮へと続く道を
歩く私達。


しれっと言っちゃってる
けど、それ大丈夫って
言わないよね。

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