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《MUMEI》 透明少女と透明な水私は透き通ったものが好きだ。 自分が透明らしいから… それが理由なのだろうか、 自分でもあまり分からない。 だけれど、透明なものに惹かれる。 特に暗い場所で光を当てた水槽の水。 あの透明さと美しさが私は好きだ。 水族館などで見た事はないだろうか? 魚の美しさを極立たせるために、 水槽の中が淡い光に包まれている水槽を。 あれは、魚の美しさだけではなく… 水の透明さや魅力を改めて実感する。 その水槽に氷をいくつか入れて見るのも 良いだろう。 どの位置から見ても、きっと綺麗だ。 水槽に入れる物は氷だけに限らない。 熱帯魚や、 貝殻。 花弁を浮かべても良し。 勿論、何も入れなくても良い。 自由に考えれば きっと綺麗になる。 だけれど、沢山の種類の物を 入れる時はそれぞれを少なめに。 調和は大切だ。 好きな物を全て入れてしまえば 考えていたものと違う物となる。 気がついて、埋まってしまった物を 上に出すのも人によっては困難。 それは人の心も同じである。 分かりやすく言うのならば、 人の心も水が入った水槽。 その中には感情がある。 喜び、怒り、悔しさ、悲しみ。 これは必ず最初は誰でも持っている。 後は全てが煩悩だとされる。 生きるために必要なものは少しだけ。 必ず無いといけない食欲だって煩悩。 だから、少しだけ。 まぁ、そう考えれば… 全てではないが殆んどの煩悩が 必ず少しだけないといけないのかも しれないのだ。 必要な煩悩は少しだけ。 後は最初に持っていたものだけ。 喜び、怒り、悔しみ、悲しみの四つだけ。 水が溢れたら歯止めがきくまでは 人によって時間が必要。 喜びだけは大きくなっても 幸福に満たされるだけだが、 怒りが大きくなったら、 怒りが押さえづらくなる。 悔しみが大きくなったら、 嫌な気分に浸る事になる。 悲しみが大きくなったら、 中々止まらぬ涙が溢れる。 煩悩の全ては最後に罪となるか 自分に悪い事になる。 きっと、溢れて良いのは喜びだけ。 だが…同時に他が増えてはいけない。 喜びは、喜びだけ。 自分が言えるような事では ないかもしれない… だが、私はそう思う。 喜びを体験した事が、 少ないからだろうか。 だが、今自分が生きている事が 最大の幸福なのかもしれない。 それと同時に苦しい世界なのだろう。 良い事ばかりの人生は無いのだから。 今を絶望しながらも生きる人。 今を絶望して死にたい人。 終わらすか、終わらないかは 人それぞれ。 だけれど死にたいと思って絶望しても 生きる事だけでも善となる。 少なくとも、私はそう信じているのだ。 透明で…誰にも気づかれない私でも。 前へ |次へ |
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