《MUMEI》

「なっ……!?なんでお前がここに!!」


お世辞にも顔が良いとは言えない容姿の男が高そうな椅子にふんぞり返って座っている。今殺したやつらの頭だ。


私を視界に入れた瞬間動揺を露にし、銃を懐から取り出す。


だが、それよりも早く私の手にある呪いの銃が目の前の男の額に触れた。


「ひっ……!?」


「お前は犯した罪が重すぎた。だから、この国の腐った警察ではなく私に裁かれる」


淡々と言葉を紡ぐ私に、恐怖のあまり口元を歪にゆがめる目の前のそいつ。終いには狂ったように笑いだした。


「くっ……は、ははは……はははははっ!!罪が重すぎた?だからお前が裁く?……正義のヒーローにでもなりてぇのかよ!?ジョーカーだか何だか知らねぇけどな、偽善者ぶってるのも大概にしろよ!!」


頼んでもないのにベラベラ喋りだしたと思ったら私への暴言を吐くそいつ。普段なら何とも思わないが、後半の台詞に、私の中の何かが切れた。


「……正義のヒーロー?偽善者?……誰のことを言ってる?」


銃を握る手に力が入る。それが伝わったのか一瞬だけ怯んだ。


「こんな仕事、したくてしてんじゃねぇんだよ……!こんな呪われた銃なんか、とっとと手放してぇんだよ!でもそれができないからこうして私もお前らと同じ人殺しの罪を重ねてるんだよ!」


これから死に逝く人間相手だからか、珍しく饒舌になってしまった。

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